きし内科クリニック通信
【 「イネ科の花粉症」の季節です 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。
きし内科クリニック通信 第89号では、昨年度に続いて今年もイネ科の花粉症のお話を掲載いたします。
あたたかくなり、マスクも外せるようになったので、江戸川の河川敷の散歩がとても心地よいですね。
今年は昨年と比較してスギ・ヒノキの飛散量が約1.8倍と多かったので、(私も含め)スギ・ヒノキ花粉症の方はとても症状がつらかったのではないかと思います。スギ・ヒノキ花粉症は、一般的にはゴールデンウイークごろで終わります。一方、ゴールデンウイークを過ぎても花粉症の症状が続いている場合は、イネ科の花粉症の可能性があります。イネ科の花粉の飛散は例年4月上旬ごろからから始まり、5月以降にピークを迎えるためです。
江戸川の河川敷に多くのイネ科の植物が植生しています。現在の市川市周辺の江戸川堤防では、イネ科の「ネズミホソムギ」を中心とする寒地型の外来牧草類が広く分布しています。
「ネズミホソムギ」(鼠細麦:イネ科ネズミムギ属)は、ネズミムギとホソムギの中間型の帰化植物で、別名を「イタリアンライグラス」といいます。緑化や飼料用に栽培される一年草または越年草で、丈は40-70cmになります。
「ネズミホソムギ」の花粉の飛散時期は5月中旬~8月上旬(ピークは5月中旬~6月下旬)になります。
その他の花粉症を引き起こすイネ科の植物に、「カモガヤ」「オオアワガエリ」があります。カモガヤの別名を「オーチャードグラス」、オオアワガエリの別名を「チモシー」といいます。ともに飼料用(主に採草用)として最も広く利用され、沖縄を除く全国で栽培されています。花粉の飛散時期は5月~8月になります。空き地・道端・畑の周辺などに、ほぼ日本全域に生息しています。
イネ科の花粉はスギ花粉のように広範囲に飛散しません。スギ花粉は10km以上飛散する一方、イネ科の花粉は多くて200m程度しか飛散しません。江戸川の河川敷を散歩すると花粉症の症状が悪くなる人は、イネ科の「ネズミホソムギ」の花粉症の可能性が高いと考えます。
ところで、イネ科の花粉症に罹患すると、口腔アレルギー症候群(花粉-食物アレルギー症候群)を引き起こすことが知られています。口腔アレルギー症候群とは、果物や野菜を食べた際、約15分以内に唇や口の中にイガイガ感・かゆみ・腫れなどのアレルギー症状があらわれる病気です。特定の花粉に含まれる抗原物質と特定の果物・野菜に含まれる抗原物質で似ているものがあります。そのため特定の花粉に対してアレルギーを起こすと、特定の果物・野菜に対してもアレルギーを引き起こしてしまうことがあり、イネ科の花粉症に罹患すると特定の食物の口腔アレルギーを生じる原因になります。イネ科の花粉に含まれる抗原物質と似ている抗原をもつ食物は、ウリ科(メロン、スイカ)、ナス科(トマト、じゃがいも)、マタタビ科(キウイ)、ミカン科(オレンジ)、マメ科(ピーナッツ)が知られています。これらの果物や野菜を食べた後に口の中がイガイガする人は、イネ科の花粉症の可能性があります。
ゴールデンウイークを明けても花粉症の症状が続く方、血液採取によるアレルギー検査を希望の方、ダニやスギ花粉症の舌下免疫療法をご希望の方は、当院にお気軽にご相談ください。
2023-05-29 14:25:17
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【 16歳の息子が天国に旅立ちました 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第88号を発行いたしました。
本号では私事ですが、私の16歳の息子についてお話いたします。
私の息子が2023年3月25日、ユーイング肉腫のため16歳で天国に旅立ちました。
私の息子が渋谷教育学園渋谷中学校3年生であった2021年4月にユーイング肉腫と診断されました。
左の骨盤に発生した骨のがんです。診断を受ける1か月前くらいから息子は左足を痛がっていました。痛み止めや湿布を使っても痛みが治まらないため、何か大きな病気ではないかと考えました。院長(私)の出身大学(東京医科歯科大学)の医師が勤務しているため、東京ベイ・浦安市川医療センターの整形外科に私の紹介状を持参して受診させました。15年以上の診療経験がある整形外科医の診察でしたが、残念なことに湿布の処方のみで様子を見るように言われて帰宅となってしまいました。その後2週間様子を見ましたが、息子の左足の痛みは悪化する一方だったので整形外科に再診を電話で依頼しました。しかし予約がいっぱいだから少なくとも2週間先まで診察できないとあっさり断られました。電話でなんとか診察してもらうように食い下がり、医師になってから数年くらいの若手の先生が数日後に診察してくださりました。そして骨盤MRIを行って骨のがんと診断されたのが、診断に至るまでの経緯です。
診断されたときにすでにがんは肺に転移していました。聖路加国際病院小児科に入院して抗がん剤治療を2か月間行い、がんが小さくなったところでがん研究会有明病院の整形外科で左骨盤の腫瘍を左骨盤ごと摘出しました。その後再び聖路加国際病院小児科で抗がん剤治療と肺への放射線治療を約5か月間行ました。がんはいったん全てなくなり、車いすで2022年1月に自宅退院となりました。聖路加国際病院小児科、がん研究会有明病院整形外科の先生方や看護師、コメディカルの皆様には大変お世話になりました。ここでお礼を申し上げます。
その後息子は必死にリハビリを行い、片杖歩行で数歩程度は歩けるようにまで回復しました。がんになった経験を生かして、がんを治療する医師になりたいと息子は私に言ってくれました。長期間の入院での学業の遅れを取り戻すため、息子は猛勉強してくれました。
ところが神様は残酷なことに、2022年の9月にがんは再発しました。左肺に転移して左肺に胸水がたまった状態でした。聖路加国際病院の小児科に入院して抗がん剤を約2か月行いましたが効果はありませんでした。その時点で完治をめざせる治療法がなくなったため、息子の意志を尊重して最後の期間は在宅で過ごすことになりました。
在宅で痛みに対してモルヒネの投与を行いながらも、息子は常に笑顔と感謝の気持ちを絶やしませんでした。息子の在宅療養を支えたのは、渋谷教育学園渋谷高校のかけがえのないたくさんの友達と担任の先生でした。友達が毎日代わる代わる自宅に遊びに来てくれて、息子の残された時間を有意義なものにしてくれました。担任の先生が息子に感謝の気持ちを大切にするように伝えたくださったためか、息子が最期に私に伝えてくれた言葉が「今までありがとう」と感謝の気持ちでした。息子の成長に涙するとともに、息子の入院から在宅医療に関して全てを一手に引き受けてくれた看護師の妻(息子の母)に感謝します。また、息子の信頼のもとに在宅医療に尽力してくださった、あおぞら診療所せたがやの先生、コメディカルの方々に感謝いたします。
息子が天国に旅立ちました。これからは医師を目指した天国の息子が見守る中で、今まで通り地域医療を行っていきます。息子のおかげで親の不安な気持ちを少しでも多く理解し、人に優しく出来る医師になる機会を与えていただくことが出来ました。息子に感謝の意をささげて本号の締めにしたいと思います。
2023-03-27 18:37:12
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【 スギ花粉症の舌下免疫療法 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第87号を発行いたしました。
本号では、「スギ花粉症舌下免疫療法」のお話を掲載いたします。
本ブログを記載している3月11日時点で、新型コロナウイルス、インフルエンザ感染症の新規患者数はピークを越えつつありますが、代わりにスギ花粉症が猛威を振るっているようです。
スギ花粉によるアレルギー性炎症の総称をスギ花粉症といいます。具体的にはスギ花粉による
「アレルギー性鼻炎」「アレルギー性結膜炎」「アレルギー性気管支炎」「アレルギー性皮膚炎」の全てを総称して、スギ花粉症というのです。スギはヒノキ科の植物のため、スギ花粉症患者のほとんどはヒノキ花粉症も合併し「スギ・ヒノキ花粉症」とも称されます。
スギ・ヒノキ花粉の飛散時期は、通常は1月下旬~5月上旬ごろになります。
NPO法人花粉情報協会のデータでは、今年の東京都のスギ花粉飛散開始日は2月11日で、2月の合計スギ花粉飛散量は976.4/㎠でした。昨年の2月の合計スギ花粉飛散量15.4/㎠でしたので、今年の2月~3月初旬のスギ花粉飛散量は、大幅に昨年の飛散量を上回っております。
日本気象協会ホームページによりますと、3月中旬以降も花粉の飛散量が多い日が連日続く見込みだそうです。またスギ花粉の飛散がピークとなる中、ヒノキ花粉が飛び始めています。スギ花粉飛散のピークは、東京では3月下旬までの予想です。スギ花粉飛散のピークが終わる頃になると、ヒノキ花粉飛散のピークを迎える所が多くなりそうです。ヒノキ花粉飛散のピークは、 東京では4月上旬から4月下旬にかけてとなるそうです。関東地方の
今年のスギ花粉飛散量は、昨年より非常に多くなる見込みだそうです。昨年にスギ花粉症の症状が弱かった方も、今年は万全なスギ花粉症対策が必要になりそうです。
花粉症治療の基本は、以下の通りになります。
抗原回避(衣服や寝具の部屋干し、寝具への花粉の付着の防止、布団掃除、マスク着用など)
薬物治療(内服薬、点鼻薬、点眼薬など。)
これらの治療で効果不十分の場合は、スギ花粉症舌下免疫療法の適応になります。
スギ花粉症舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法、減感作療法)とは、スギ花粉を含むエキスを舌の下に投与し、少しずつ体内に吸収させることで、スギ花粉に対するアレルギー反応を弱めていく治療法です。
具体的には、薬を舌の下に1分間保持してから飲み込みます。これを1日1回、約4年間行うことで、約90%の患者さんのスギ花粉症の症状が軽減するといわれています。治療は保険適用になります。スギ花粉症とダニアレルギーの舌下免疫療法を合わせると、これまで400例以上の患者さんが当院で治療を行っています。
スギ花粉症舌下免疫療法は、5歳以上の年齢の方全てに行うことが出来ますが、新規に開始することができる時期は、スギ・ヒノキ花粉が飛散していない時期(5月GW明け~12月末まで)になります。
なお、重症ぜんそくの方、ステロイド内服中(点鼻・吸入ステロイドは可)の方、抗がん剤やβ遮断薬など特定の薬を使用されている方は治療を行うことができません。妊娠中の方は妊娠中に新規に治療を開始することはできませんが、内服治療中に懐妊しても問題なく治療を継続することができます。
当院では、私自身のスギ花粉症治療の経験も踏まえながら、患者様の個々のニーズに合った最適な花粉症治療の提案を出来るように努めています。花粉症でお困りの方は是非当院にお気軽にご相談ください。
2023-03-16 10:32:00
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【 「花粉-食物アレルギー症候群」 ~果物アレルギーと花粉症の関係~ 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第86号を発行いたしました。
本号では、
「花粉-食物アレルギー症候群」のお話しを掲載いたします。
2月入り新型コロナウイルス感染症の新規患者数はピークを越しましたが、インフルエンザ感染者数が増加に転じています。手洗い、ワクチン接種などの感染対策が大切です。
近年、果物によるアレルギー患者さんが増加しています。果物アレルギーは、以下の2種類に分けられます。
1.
即時型:
乳幼児期に発症。じんま疹、湿疹、痒みなどの皮膚や粘膜の症状、下痢や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状が特徴
2.
口腔アレルギー症候群:
学童期から成人に発症。唇や舌、のどの痒みやイガイガなど口腔粘膜に症状を認めるのが特徴。
特に、花粉症を発症した後に果物アレルギーも発症する患者さんが最近増えてきています。これら花粉症に関連した食物アレルギーのことを、「花粉-食物アレルギー症候群」と呼びます。アレルギーは食べ物・花粉・ダニなどの一部の蛋白(アレルゲン)に対して、体が過剰に免疫反応を起こす(感作する)ことが原因です。花粉アレルギーのアレルゲンと果物に含まれるアレルゲンが似ている(交差抗原性がある)ために、花粉症を発症した人が果物アレルギーも発症してしまうことがあるのです。花粉への感作により果物アレルギーを発症する場合の多くは、口腔アレルギー症候群タイプの果物アレルギーとして発症します。
花粉症の原因となる植物は複数ありますが、それに対応して症状のでやすい果物が決まっているのも、このアレルギーの特徴です。「花粉-食物アレルギー症候群」を最も引き起こす頻度が高いのが、春に花粉が飛散するハンノキ・シラカバなどのカバノキ科の花粉症です。カバノキ科の花粉に感作すると、リンゴ・もも・さくらんぼなどのバラ科の果物で症状が出やすくなります。またこのカバノキ科の花粉症患者さんでは、豆乳やもやしなどの未加工の大豆製品でアレルギー症状を起こすことがあります。また江戸川の河川敷に多く植生するネズミホソムギや、カモガヤ・オオアワガエリなど初夏に花粉が飛散するイネ科の花粉症も「花粉-食物アレルギー症候群」を引き起こす頻度が高くなっています。イネ科の花粉に感作すると、メロン・スイカ・キウイなどに反応が出やすくなります。
対応としては症状の出る果物避けることが基本ですが、抗アレルギー剤を内服することで症状を緩和することが可能な場合もあります。また、果物を加熱処理すると、アレルギー症状を起こす蛋白が変性するため症状が出なくなることがあります。「花粉-食物アレルギー症候群」は、患者さんがアレルギーと思っていないことも多く、潜在的な患者さんは非常に多いものと思われます。お心あたりがございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
2023-02-13 10:49:00
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【 スギ花粉が飛び始めました 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第85号を発行いたしました。
本号では、「スギ花粉症のお話」を掲載いたします。
1月入り新型コロナウイルス感染症の新規患者数もピークを越えつつありますが、インフルエンザ感染者数が増加に転じています。手洗い、ワクチン接種などの感染対策が大切です。
ここからが本題です。今年1月10日の診療中にいつもより目が痒い自分に気づきました。過去のクリニック通信でたびたび申し上げていますが、私はひどいスギ・ヒノキ花粉症なためスギ花粉飛散開始には敏感に反応します。
日本気象協会ホームページによりますと、
今年のスギ花粉飛散量は九州~東北で前シーズンより多く、特に四国・近畿・東海・関東甲信で非常に多い予想だそうです。飛散開始時期は例年並みで、九州から関東で2月上旬から飛散開始となるそうです。スギ花粉は飛散開始と認められる前からわずかな量が飛び始めますので、1月10日からわずかな量の花粉が飛散していたと考えて間違いなさそうです。昨年に花粉症の症状が弱かった方も、今年は万全な花粉症対策が必要になりそうです。
私は毎年1月半ばから5月半ばまで花粉症の薬を内服しています。花粉症の薬を内服しないと、夜中に咳が止まらず、目が真っ赤に腫れ、一日中鼻をかんでいなくてはいけなくなってしまいます。また、新型コロナウイルスの流行後からは以前よりも換気をまめに行うようになったため、クリニックの中にも花粉が入ってくるようになり、診療中も目薬を手放せません。
スギ花粉症の一番の対策は、スギ花粉の吸入・接触を避けることです。スギ花粉は粒状物なので風が強い日は空気中に舞いますが、その後地面に落下します。また洋服にも付着します。空気中に舞っているスギ花粉をマスクで予防することはもちろんですが、地面や洋服に付着している花粉を吸いこまないことも重要になります。地面に落下している花粉を吸いこむことが最も多い時間は、夜にベッドや布団に顔をうずめて寝ているときになります。スギ花粉を避けるのに有効な対策として、布団やベッドにスギ花粉を付着させないこと、洋服に付着したスギ花粉を自宅に持ち帰らないことの2点が特に重要になります。
具体的には、
「寝室の換気をしない」 「シーツや布団は部屋干しする」 「布団に花粉が付着した場合は掃除機で吸い取る」 「寝室の枕元に空気清浄機を設置する」 「衣服は部屋干しにする」 「特に寝具に花粉を付着させないように注意する」になります。
新型コロナウイルスの流行のため、マスクを着用することは慣れましたが、部屋の換気も行わなければいけなくなったためにスギ花粉の室内の侵入には特に注意が必要です。
スギ花粉によるアレルギー性炎症の総称をスギ花粉症といいます。具体的にはスギ花粉による「アレルギー性鼻炎」「アレルギー性結膜炎」「アレルギー性気管支炎」「アレルギー性皮膚炎」の全てを総称して、スギ花粉症というのです。スギはヒノキ科の植物のため、スギ花粉症患者のほとんどはヒノキ花粉症も合併し「スギ・ヒノキ花粉症」とも称されます。
スギ・ヒノキ花粉の飛散時期は、1月下旬~5月上旬ごろになります。
スギ花粉症(スギ花粉によるアレルギー性炎症)の具体的な症状を、以下に示します。
【アレルギー性鼻炎】 鼻水、鼻づまり、くしゃみ、鼻のかゆみ・むずむず感、頭重感、前頭部痛
【アレルギー性結膜炎】 目のかゆみ、充血、目のまわりの腫れ
【アレルギー性皮膚炎】 皮膚のかゆみ、赤み、皮膚のかさつき(特に鼻~頬の辺りに多い)
【アレルギー性気管支炎】咳、痰、喉のいがいが感(スギ花粉によって誘発される「咳ぜんそく」とほぼ同じ症状です)
スギ花粉症の症状で、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみは有名ですが、いったん出始めると止まらなくなる咳(特に夜中に多い)や、皮膚のかゆみも花粉症の症状の可能性があるので注意が必要です。
風邪の症状とも似ていますが、目のかゆみを伴う場合や2週間以上症状が続く場合は、風邪ではなく花粉症を強く疑います。
花粉症の治療は、内服薬、点鼻薬、点眼薬などで行います。従来の花粉症治療薬は眠気を催すものが多かったのですが、
眠くなりにくくある程度の効果が期待できる薬も開発されています。
スギ花粉の飛散が終わる5月中旬より
「スギ花粉症舌下免疫療法」を合わせて行うことも可能です。
私自身のスギ花粉症治療の経験も踏まえながら、患者様の個々のニーズに合った最適な花粉症治療の提案を出来るように努めます。花粉症でお困りの方は是非当院にお気軽にご相談ください。
2023-01-18 12:03:50
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【 「インフルエンザ」の流行が始まりました 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第84号を発行いたしました。
本号では、「インフルエンザ」の流行についてお話いたします。
このブログを記載している2022年12月30日時点においで、千葉県における新型コロナウイルスの新規感染者数は1日8000人前後で第8波のピークを迎えています(図1)。今回の
第8波において日本で流行している主なオミクロン株は、「BF.5株」「BA.5.2株」「BA.5.2.1株」「BF.7株」だそうです。12月26日、27日の2日間で、当院で診断した新型コロナウイルスの新規感染者数は42人でした。年齢層は小学生から60歳くらいまでの若い方に多く、有熱期間は数日程度で比較的症状は軽い印象です。新型コロナウイルスの弱毒化がこの第8波でますます進んでいると考えています。ただ、新型コロナウイルス感染後に咳だけが残って長く続いてしまう患者が、今までの新型コロナウイルス感染に比べて、第8波からは特に多く見受けられるように感じます。この咳はいったん出始めると止まらなくなったり、特に夜や明け方にひどくなって睡眠を妨げたりする厄介なもの多く、ひどい場合は数か月続くこともあります。新型コロナウイルス感染の後の長引く厄介な咳でお困りの場合は、お気軽に当院にご相談ください。
ところで感染予防の徹底のためか、ここ2年間は冬期にインフルエンザの流行が全く起こりませんでした。しかし、今年は12月に入りインフルエンザの患者が増加し始めています(図2)。インフルエンザに罹患する患者の年齢層も、幼児や小児などの若年層が多くなっています(図3)。新型コロナウイルス感染症第8波では、小児や幼児が新型コロナウイルス感染症に罹患しても症状は軽度の印象でしたが、インフルエンザは小児や幼児でも脳症を引き起こし重症化するケースが過去には多く報告されています
。12月26日、27日の2日間で、当院で診断したインフルエンザの新規感染者数は10人に上りました。現在の流行はインフルエンザA型(H3N2)です(図4)。最近の2年間でインフルエンザの流行がなかったため、日本人のインフルエンザ抗体の保有量も全体的に少なくなっていると考えられます。最後のインフルエンザの流行が2020年2月なので、それ以降に出生した0~2歳児は全くインフルエンザに対する抗体を持っていないことになります。例年インフルエンザは3学期が始まってから学校から感染者が広がることが多いです。インフルエンザに対する抗体を持っていない小児や幼児は重症化するリスクも高く、医療崩壊を起こしてしまう可能性も否定できません。インフルエンザ予防接種を受けていない方は今からでも急いでインフルエンザ予防接種を受けましょう。
新型コロナは弱毒化の傾向にありますが、抗体保有量が少ないインフルエンザは全ての人が重症化を起こす可能性があると考えます。インフルエンザワクチンの接種、マスク、こまめな手洗い、特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方は、新型コロナワクチンの追加接種を行い、今年の冬の新型コロナ、インフルエンザ同時流行を乗り越えましょう。
2023-01-10 08:00:00
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【 「新型コロナ」第8波と、「インフルエンザ」の同時流行はあるのか 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第83号を発行いたしました。
本号では、「新型コロナ感染症」第8波と、「インフルエンザ感染症」についてお話いたします。
このブログを記載している2022年12月7日時点においで、2022年の千葉県における新型コロナウイルスの新規感染者数と死亡者数のグラフ(図上)をお示しします。このグラフでみられる3つの波が、左から順に第6波、第7波、第8波を示しています。2021年11月に、新型コロナウイルスを形成するスパイク蛋白質に少なくとも30ヶ所の変異を有する「オミクロン株」が南アフリカで初めて確認されました。その後は全世界的に「オミクロン株」の流行がほとんどを占めるようになりました。日本においてオミクロン株の最初の流行の第6波では、2022年1月からの「BA.1株」が主流でしたが、2月ごろから「BA.2株:ステルスオミクロン株」の感染例が増加しました。第7波では「オミクロン/BA.4株」「オミクロン/BA.5株」による感染者数が増加してしました。
第8波が流行している現時点において日本で流行している主なオミクロン株は、「BF.5株」「BA.5.2株」「BA.5.2.1株」に変化しており、「BF.7株」も増加傾向にあります(図下)。ここから言えることは、新型コロナウイルスは非常に変異しやすいということです。インフルエンザのように常に変異を繰り返しながら流行を繰り返していくことが予想されます。
ところで感染予防の徹底のためか、ここ2年間は冬期にインフルエンザの流行が全く起こりませんでした。これは1999年に現在の方法でインフルエンザ感染者数の統計を取り始めてから初めてのことだそうです。そのため日本人のインフルエンザ抗体の保有量も全体的に少なくなっていると考えられます。最後のインフルエンザの流行が2020年2月なので、それ以降に出生した0~2歳児は全くインフルエンザに対する抗体を持っていないことになります。現在新型コロナウイルスの弱毒化のため通常の生活に戻りつつあり、感染予防の徹底のためになりを潜めていた小児感染症が再び流行しはじめています。昨夏はRSウイルス感染症、今夏は手足口病が大流行しました。インフルエンザは例年冬に流行しますが、今年は一足早く冬を迎えた南半球にあるオーストラリアで、3年ぶりにインフルエンザの大流行が起こりました。そのため、今年の冬は日本でも3年ぶりにインフルエンザの大流行が起こる可能性は高まったと考えます。例年インフルエンザは3学期が始まってから学校から感染者が広がることが多いです。ひとたび流行をおこせば、インフルエンザに対する抗体を持っていない小児は重症化するリスクも高く医療崩壊を起こしてしまう可能性も否定できません。インフルエンザ予防接種をうけてインフルエンザの重症化をおさえることが大切であると考えます。
新型コロナは弱毒化の傾向にありますが、抗体保有量が少ないインフルエンザは全ての人が重症化を起こす可能性があると考えます。インフルエンザワクチンの接種、マスク、こまめな手洗い、特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方は、新型コロナワクチンの追加接種を行い、今年の冬の新型コロナ、インフルエンザ同時流行に備えましょう。
2022-12-12 14:04:00
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【 今年も子どものインフルエンザ予防接種費の助成が始まりました 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第82号を発行いたしました。
本号では、「子どものインフルエンザ予防接種の費用助成」について掲載いたします。
10月1日より今年のインフルエンザ予防接種が開始しました。
インフルエンザの予防接種を希望の方は、通常の診察と同様に診療時間内に受診してください(インターネット予約をお願い致します)。
厚生労働省は新型コロナワクチンの安全性が確認されるまでは、新型コロナワクチンと他のワクチンの接種間隔は14日以上空けることとしていますが、
今年度からインフルエンザワクチンのみ、新型コロナワクチンとの接種間隔の規定はなくなりました。インフルエンザワクチンは他のワクチン間隔を空けずに接種することができ、また他のワクチンと同時に接種することもできます。
感染予防の徹底のためか、ここ2年間は冬期にインフルエンザの流行が全く起こりませんでした。これは1999年に現在の方法でインフルエンザ感染者数の統計を取り始めてから初めてのことだそうです。そのため日本人のインフルエンザ抗体の保有量も全体的に少なくなっていると考えられます。最後のインフルエンザの流行が2020年2月なので、それ以降に出生した0~2歳児は全くインフルエンザに対する抗体を持っていないことになります。
現在、新型コロナウイルス感染症の流行状況が落ち着いて通常の生活に戻りつつあります。そのため今まで感染予防の徹底のためなりを潜めていた小児感染症が、再び流行がしはじめています。昨夏はRSウイルス感染症、今夏は手足口病が大流行しました。インフルエンザは例年冬に流行しますが、今年は一足早く冬を迎えた南半球にあるオーストラリアで3年ぶりインフルエンザが大流行を起こしました。そのため、今年の冬は日本でも3年ぶりにインフルエンザが大流行を起こす可能性は高まったと考えます。ひとたび流行をおこせば、インフルエンザに対する抗体を持っていない小児は重症化するリスクも高く医療崩壊を起こしてしまう可能性も否定できません。インフルエンザ予防接種をうけてインフルエンザの重症化をおさえることが大切であると考えます。
2022年の接種料金は、昨年と同様1回3,500円(税込み)です。2回接種の方が当院で2回とも接種を行う場合は、2回目の接種料金が3,000円に減額になります。
65歳以上の市川市在住の方は、高齢者インフルエンザ予防接種の医療費助成が受けられます(1回1,500円に減額)ので、高齢者インフルエンザ予防接種専用の問診票を持参して来院してください。
成人(13歳以上) ~12):1回接種(成人は過去のインフルエンザ感染による抗体を持っているため)
小児(生後6か月~12歳):2回接種(2~4週間隔で)(若年者は十分な抗体を持っていないため)
今年度も、小学生以下のお子様のインフルエンザ予防接種費に市川市から助成がおりることになりました。
【対象者】
接種時時点で市川市に住民登録がある、生後6か月から小学6年生のお子様(平成22年4月2日以降に生まれた生後6か月以上の方)
【助成内容】
対象者1人につき2回まで、1回あたり3,000円を上限。
【申請方法】
ワクチン接種後に、市川市ホームページからダウンロードできる「子どものインフルエンザ予防接種交付金申請書」、「ワクチン接種の領収書の原本」を、市川保健センター疾病予防課に郵送します。
詳細は、市川市ホームページでご確認ください。
小学生以下のお子様のインフルエンザ予防接種は2回接種が必要です。当院で2回インフルエンザ予防接種を行うと1人当たり6,500円かかり、ここから6,000円の助成がおりることになります。
インフルエンザ予防接種についてご不明な点がございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
2022-10-18 10:25:25
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【 「ダニアレルギー」の季節です。「ダニアレルギーの舌下免疫療法」 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第81号を発行いたしました。
本号では、「ダニアレルギー」と「ダニアレルギーの舌下免疫療法」のお話を掲載いたします。
新型コロナウイルス第7波は大分落ち着いてきました。第1波と比較して新型コロナウイルスの弱毒化は進んでいるようで、お子様が感染しても通常の熱かぜと症状の見分けはつかない程度の印象です。どうやらもう過剰に恐れるウイルスではなくなっているようですが、第8波に備えて引き続き手洗いなどの感染予防に努めましょう。
「ダニアレルギー」は、本邦では「スギ花粉症」の次に患者数が多いアレルギー疾患になります。
ダニアレルギーによって引き起こされる主な疾患に、
「気管支ぜんそく」「アレルギー性鼻炎」「アトピー性皮膚炎」「じんましん」「アレルギー性結膜炎」などがあります。ダニの死骸や糞の吸入や、皮膚や目への付着でダニアレルギーが引き起こされます。特に
「小児ぜんそく」「通年性アレルギー性鼻炎」の原因の多くは、ダニアレルギーが占めているといわれています。
「ダニアレルギー」の原因は、主に「ヤケヒョウヒダニ」と「コナヒョウヒダニ」の2種類のダニになります。ちなみに、「ハウスダストアレルギー」の原因は、「室内のほこり」です。室内のほこりには、ダニ、ペットのフケ、ゴキブリ・ガなどの昆虫、カビなどが含まれていますが、室内のほこりの中でも主なアレルギーの原因はダニであるといわれています。そのため、ハウスダストアレルギーの方も、ダニへの対策が非常に重要になります。ダニは夏にどんどん増殖し、秋にはダニの死骸や糞が最も多くなり、ハウスダストの主成分となります。吸い込むのは生きているダニではなくダニの死骸や糞のため、
ダニアレルギーはダニが活発に活動する夏よりも、糞や死骸が舞う秋によりひどくなるといわれています。
夏~秋にかけて悪化するダニアレルギーの対策は、ダニが増え始める梅雨の時期から始めることが重要です。家の中の掃除も重要ですが、寝室の布団の掃除が特に重要であるといわれています。1日のうち約3分の1もの時間、布団に顔を付けて寝ているためです。
布団の丸洗い洗濯や、毎週2回程度の布団掃除機をかけることが重要です。また布団乾燥機もダニを死滅させるのに有効です。布団乾燥機を使用した後は掃除機でダニの死骸を吸い取りましょう。布団の天日干しは、生きているダニは布団の内部に潜り込んでしまうため、完全にはダニを死滅させることは出来ないといわれています。また、ダニアレルギーの他に花粉症がある方は、布団に花粉を付けて室内に持ち込んでしまうため、花粉症が悪化してしまうこともあるので注意が必要です。布団の天日干しをした後は、掃除機でダニの死骸や付着した花粉を吸い取るようにすると効果的です。また、防ダニ機能やアレルギー対策を施した布団を使用することも効果的です。
ダニアレルギー対策を十分に行っても症状がひどく、アレルギー性鼻炎を伴っている場合は、ダニアレルギー舌下免疫療法の適応になります。
ダニアレルギー舌下免疫療法とは、ダニ抗原エキスを舌の下に投与し、少しずつ体内に吸収させることで、ダニに対するアレルギー反応を弱めていく治療法です。
具体的には、薬を舌の下に1分間保持してから飲み込みます。これを1日1回、4年間行うことで、約90%の患者さんのダニによるアレルギー性鼻炎の症状が軽減するといわれています。
ダニアレルギー舌下免疫療法は、5歳以上のダニアレルギーの方に通年で開始することが出来ます。
ダニアレルギーの症状でお困りの方は、是非お気軽に当院にご相談ください。
2022-09-15 10:12:00
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【 2022年のインフルエンザ予防接種専門外来 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第80号を発行いたしました。
本号では、「2022年のインフルエンザ予防接種専門外来」のお話を掲載いたします。
今年のインフルエンザ予防接種は10月1日より開始する予定です。インフルエンザの予防接種を希望の方は、通常の診察と同様に診療時間内に受診してください(インターネット予約をお願い致します)。
インフルエンザワクチンの接種は10月から12月の間に行いましょう。
感染予防の徹底のためか、ここ2年間は冬期にインフルエンザの流行が全く起こりませんでした。これは1999年に現在の方法でインフルエンザ感染者数の統計を取り始めてから初めてのことだそうです。そのため日本人のインフルエンザ抗体の保有量も全体的に少なくなっていると考えられます。最後のインフルエンザの流行が2020年2月なので、それ以降に出生した0~2歳児は全くインフルエンザに対する抗体を持っていないことになります。今年の冬も感染予防の徹底のためにインフルエンザほとんど流行しないか、反対に小児を中心にインフルエンザが大流行を起こすかのどちらかになると考えています。
今年のインフルエンザワクチンも、昨年に続いてA型インフルエンザウイルス2種類、B型インフルエンザウイルス2種類、合計4種類のインフルエンザウイルスに対する抗体が含まれています。
厚生労働省は新型コロナワクチンの安全性が確認されるまでは、
新型コロナワクチンと他のワクチンの接種間隔は14日以上空けることとしていますが、
今年度から、インフルエンザワクチンのみ新型コロナワクチンとの接種間隔の規定は廃止されました。
成人(13歳以上) :
1回接種(成人は過去のインフルエンザ感染による抗体を持っているため)
小児(生後6か月~12歳):
2回接種(2~4週間隔で)(若年者は十分な抗体を持っていないため)
今年も特定の土曜日の午後に、
「インフルエンザ予防接種 専門外来」を臨時開院いたします。
インフルエンザ予防接種以外の診察は原則として行いません。
今年度からは完全予約制になります。昨年までは患者様の利便性を考え予約不要にしていましたが、待合室が密になったこともあり当院かかりつけでない患者様からのクレームが生じたため変更となりました。
なお、インフルエンザワクチンの在庫が不足している場合は、インフルエンザ予防接種専門外来は開院しません。申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
【2022年のインフルエンザ予防接種専用外来の開催日時】
(14時から17時まで。合計3日間。各日先着200名。)
10月 :10/15(土)
11月 :11/5(土)、11/26(土)
当日13時より公式ホームページから先着200名、インターネットのみでの予約とします。ネット環境のない方は、土曜日午後のインフルエンザ予防接種専門外来ではなく、通常の診療時間内にインフルエンザの予防接種を受けてください。
予約番号によって下記の通り来院時間を振り分ける方法としました。よろしくお願いいたします。
予約番号1~40番の方は、14時~14時30分 に来院してください。
予約番号41~70番の方は、14時30分~15時 に来院してください。
予約番号71~100番の方は、15時~15時30分 に来院してください。
予約番号101~140番の方は、15時30分~16時 に来院してください。
予約番号141~170番の方は、16時~16時30分 に来院してください。
予約番号171~200番の方は、16時30分~17時 に来院してください。
2022年の接種料金は、昨年と同様1回3500円(税込み)です。2回接種の方で、当院で2回目の接種を行う場合は、2回目の接種料金が3000円に減額になります。65歳以上の市川市在住の方は、高齢者インフルエンザ予防接種の医療費助成が受けられます(1回1500円に減額)ので、高齢者インフルエンザ予防接種専用の問診票を持参して来院してください。
インフルエンザ予防接種についてご不明な点がございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
2022-08-22 11:24:42
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