きし内科クリニック通信
【 インフルエンザワクチンを接種しましょう 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第106号を発行いたしました。
本号では、「インフルエンザ予防接種」について掲載いたします。
10月1日より今年のインフルエンザ予防接種が開始しました。
インフルエンザの予防接種を希望の方は、通常の診察と同様に診療時間内に受診してください(インターネット予約をお願い致します)。
インフルエンザワクチンと、新型コロナワクチンなどの他のワクチンとの接種間隔の規定はありません。インフルエンザワクチンは他のワクチン間隔を空けずに接種することができ、また他のワクチンと同時に接種することもできます。
下図は、東京都感染症情報センターによる過去5年間のインフルエンザの定点医療機関当たりの患者報告数をグラフで示したものです。
定点医療機関当たり患者報告数 2024年11月3日(第44週)まで
新型コロナウイルスの流行による感染予防の徹底のため、2021年までの2年間は冬期にインフルエンザの流行が全く起こりませんでした。そのため日本人のインフルエンザ抗体の保有量が全体的に少なくなりました。その反動で、2022年の冬に再びインフルエンザの流行が始まり、2023年(昨年)の冬はインフルエンザが大流行したのは記憶に新しいと思います。新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いたため、今までなりを潜めていた小児感染症が、再び流行し始めています。一昨年夏はRSウイルス感染症、今年春は溶連菌感染症、昨年と今年の夏は手足口病、現在はマイコプラズマ感染症が大流行しています。今冬における次の流行はインフルエンザなる可能性は高いと考えます。インフルエンザに対する抗体を持っていない場合、小児や高齢者は重症化するリスクが高まります。インフルエンザ予防接種をうけてインフルエンザの重症化をおさえることが大切であると考えます。
今年の接種料金は、昨年と同様1回3,500円(税込み)です。2回接種の方が当院で2回とも接種を行う場合は、2回目の接種料金が3,000円に減額になります。
65歳以上の市川市在住の方は、高齢者インフルエンザ予防接種の医療費助成が受けられます(1回1,500円に減額)ので、高齢者インフルエンザ予防接種専用の問診票を持参して来院してください。
成人(13歳以上) :1回接種(成人は過去のインフルエンザ感染による抗体を持っているため)
小児(生後6か月~12歳):2回接種(2~4週間隔で)(若年者は十分な抗体を持っていないため)
小学生以下のお子様のインフルエンザ予防接種は2回接種が必要です。
インフルエンザ予防接種についてご不明な点がございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
2024-11-11 14:27:55
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【 マイコプラズマ感染症が流行しています。 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第105号を発行いたしました。
本号では、「マイコプラズマ感染症」についてお話いたします。
マイコプラズマ肺炎が流行しています。東京都感染症センターの報告によると、基幹定点医療機関から報告された放生国患者数が過去25年間で最大となっています。特に東京都東部(隅田川以東)の感染症患者数が多いため、隣接する市川市の患者数も相対的に多数であると考えられます。院長の私もつい最近にマイコプラズマ肺炎に罹患して大変つらい思いをしました。
マイコプラズマ感染症は、主に子どもや若者に多くみられる感染症です。全体のうち約80%が14歳以下で発症しており、そのピークは小学校低学年となっています。マイコプラズマ感染症とは、マイコプラズマという病原体(細胞壁をもたない細菌)の感染によっておこる感染症です。
マイコプラズマの感染経路は、飛沫感染(咳やくしゃみなどでウイルスなどが飛び散り、人に感染する事)です。マイコプラズマが気管の粘膜に侵入し、2~3週間の潜伏期間を経てから発症します。マイコプラズマは主に下気道に感染します。マイコプラズマが下気道に感染しても、軽い風邪症状で自然に治ってしまう人もいれば、気管支炎になり頑固な咳だけが(ひどいときは)1か月以上長引くこともあります。また多くの人がマイコプラズマ肺炎を発症することが特徴です。潜伏期間が長いため、家族の間でだらだらとひどい咳風邪が続いている場合はマイコプラズマ感染症を強く疑います。
症状は、頑固な咳、発熱が特徴です。その割に体調は比較的元気なことが多く、インフルエンザの時のようにぐったりしないことも多いです。そのため英語で 「walking pneumonia」(日本語訳:歩ける肺炎)と言われることもあります。鼻水、のどの痛みの症状は特徴的な症状ではなく、ある人もない人もいます。しかし一部の患者は重症化し、入院点滴治療が必要になることもあるので注意が必要です。
マイコプラズマ肺炎の診断は、発熱や頑固な咳を認める場合に、胸部レントゲン写真や、咽頭ぬぐい液マイコプラズマ迅速検査(診断感度は50%~70%)で行います。治療は、抗生剤の内服を行います。普通の抗生剤(ペニシリン系、セフェム系)は効果がなく、マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗生剤を用います。最近はマクロライド系の抗生剤が効かない薬剤耐性マイコプラズマが流行しており注意を必要とします。
マイコプラズマに一度感染すると抗体ができますが、その抗体は一生続くものではなく何回も感染を繰り返します。また、気管支ぜんそくや、咳ぜんそくを持病にもつ方は、マイコプラズマの感染をきっかけとして、ぜんそくの症状が悪化することが多いために注意が必要です。
秋~冬に向かってインフルエンザや新型コロナウイルスの新たな流行も迫っています。マイコプラズマ感染予防のため、こまめな手洗い、適切なマスク着用などに努めましょう。
2024-10-02 10:15:19
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【 2024年のインフルエンザ予防接種専門外来 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第104号を発行いたしました。
本号では、「2024年のインフルエンザ予防接種専門外来」のお話を掲載いたします。
今年のインフルエンザ予防接種は10月1日より開始する予定です。インフルエンザの予防接種を希望の方は、通常の診察と同様に診療時間内に受診してください(インターネット予約をお願い致します)。
インフルエンザワクチンの接種は10月から12月の間に行いましょう。
新型コロナウイルス感染症の流行のため、2020年度、2021年度は冬期にインフルエンザの流行が全く起こりませんでした。2022年度の冬はA型インフルエンザの小さな流行のみが起りました。そのため日本人のインフルエンザ抗体の保有量は全体的に少なくなっていました。その隙をつくように、昨年度(2023年度)は、9月から1月にかけてインフルエンザA型(H1N1)株とA型(H3N2)株の2種類が、1月から4月にかけてインフルエンザB型株が、小児を中心に大流行しました。昨年のインフルエンザは高熱が続くなど比較的症状が重い印象がありました。
今年のインフルエンザワクチンも、昨年に続いてA型インフルエンザウイルス2種類、B型インフルエンザウイルス2種類、合計4種類のインフルエンザウイルスに対する抗体が含まれています。
インフルエンザワクチンは、他のワクチン(新型コロナワクチンを含む)との接種間隔の規定はありません。
成人(13歳以上) :1回接種(成人は過去のインフルエンザ感染による抗体を持っているため)
小児(生後6か月~12歳):2回接種(2~4週間隔で)(若年者は十分な抗体を持っていないため)
今年も特定の土曜日の午後に、「インフルエンザ予防接種 専門外来」を臨時開院いたします。
完全予約制になります。インフルエンザ予防接種以外の診察は原則として行いません。
なお、インフルエンザワクチンの在庫が不足している場合は、インフルエンザ予防接種専門外来は開院しません。申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
【2024年のインフルエンザ予防接種専用外来の開催日時】
(14時から17時まで。合計3日間。各日先着200名。)
10月 : 10/5(土)、10/26(土)
11月 : 11/16(土)
当日13時より公式ホームページから先着200名、インターネットのみでの予約とします。ネット環境のない方は、土曜日午後のインフルエンザ予防接種専門外来ではなく、通常の診療時間内にインフルエンザの予防接種を受けてください。
予約番号によって下記の通り来院時間を振り分ける方法としました。よろしくお願いいたします。
予約番号1~40番の方は、14時~14時30分 に来院してください。
予約番号41~70番の方は、14時30分~15時 に来院してください。
予約番号71~100番の方は、15時~15時30分 に来院してください。
予約番号101~140番の方は、15時30分~16時 に来院してください。
予約番号141~170番の方は、16時~16時30分 に来院してください。
予約番号171~200番の方は、16時30分~17時 に来院してください。
2024年の接種料金は、昨年と同様1回3500円(税込み)です。2回接種の方で、当院で2回目の接種を行う場合は、2回目の接種料金が3000円に減額になります。65歳以上の市川市在住の方は、高齢者インフルエンザ予防接種の医療費助成が受けられます(1回1500円に減額)ので、高齢者インフルエンザ予防接種専用の問診票を持参して来院してください。
インフルエンザ予防接種についてご不明な点がございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
2024-08-30 10:17:16
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【 大人の「新型コロナ感染症」と、幼児の「手足口病」が流行しています。 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第103号を発行いたしました。
本号では、「新型コロナ感染症の流行(第11波)」と、「手足口病」についてお話いたします。
成人や小学校高学年以上の小児には「新型コロナウイルス感染症」が、幼児には「手足口病」が大流行しています。
2024年5月の下旬より、新型コロナウイルスの感染者数が再び増加に転じています(下図:NHKより)。
2024年1月から2024年3月まで続いていた新型コロナウイルス感染症の流行は通算第10波目であり、新たな変異株であるオミクロン株「BA.2」系統「JN.1」株の流行でした。今回の、2024年5月からの新型コロナウイルス感染症の流行(通算第11波目)は、オミクロン株「BA.2」系統の「KP.3」変異株の流行だそうです。
「KP.3」株も「JN.1」株と同じオミクロン系統なので、KP.3株の潜伏期間は約3日(2日~5日)程度と考えられます。今のところの印象では、臨床症状も今までのオミクロン株と同様に発熱とのどの痛みが多いようです。新型コロナウイルス感染症は若年者においては弱毒化の傾向にあり、小児や若年成人が罹患してもほとんどただの風邪と見分けがつかないことも多いですが、高齢者特に基礎疾患を持つ高齢者は重症化の恐れがあり注意が必要です。高齢者は重症化予防効果があると考えられる新型コロナウイルスに対する治療薬(エンシトレルビル:ゾコーバ)の内服をお勧めしていますが、薬価が高く自己負担額が3割負担の方で約15500円となっています。
また、幼児の間では「手足口病」が大流行しています。
手足口病は4歳位までの幼児を中心に夏季に流行が見られる疾患です。学童以上の年齢層の大半は既にこれらのウイルスの感染を受けています。成人での発症はあまり多くありませんが、成人が発症すると痛みを伴うなど症状が強く表れることがあるので注意が必要です。終生免疫は獲得されないため、その後もどの年齢でも再感染は起こります。
エンテロウイルスに属する、コクサッキーウイルスA16、A6、エンテロウイルス71などが手足口病の原因ウイルスになります。
手足口病の感染経路は、
飛沫感染、
接触感染、
糞口感染の3つになります。
飛沫感染:咳やくしゃみなどでウイルスなどが飛び散り、人に感染する事。
接触感染:触れたり、さわったり、間接的な接触などによってウイルスが人に感染する事。
糞口感染:排泄物によって人に感染する事。
潜伏期間は2~5日です。発熱後1~2日で口の中の痛み・水泡を伴った発疹が出現します。のどの痛み・食欲不振も伴います。発疹は手のひらや足の裏、おしりなどに出現し、痛みを伴うこともあります。症状は約1週間から10日間続きます。発疹・水疱がかさぶたになり、乾燥して元通りに治るまでは、他人に感染させる恐れがあります。この期間は発疹・水疱部分の他に、唾液や鼻水からもウイルスが排出されます。また発疹が消失した後も、約1か月間は排泄物にウイルスが残る場合があり、症状を認めてから約1ヶ月間は他人にうつる可能性があるので注意が必要です。特別な治療法は無く、症状に応じた対症療法が行われます。ウイルス感染のため抗生剤は無効です。
新型コロナウイルスや、夏かぜの予防のため、こまめな手洗いなど感染予防に努めましょう。
2024-07-17 16:29:35
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【 血液検査でわかる39項目のアレルギー検査 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第102号を発行いたしました。
本号では、「アレルギー検査(血液検査でわかる39項目のアレルギー検査)」のお話を掲載いたします。
【アレルギーとは】
私たちの身体には、外から身体に害を及ぼす異物(細菌・ウイルスなど)が入ってきた時に、その異物を排除しようとする
「免疫」とういう機能が備わっています。「免疫」は細菌やウイルスから身体を守ってくれる大切なシステムなのですが、この免疫システムが過剰に働いてしまうことで、通常は身体に害のないもの(ほこり・花粉・食べ物など)に反応してしまう事があます。これを
アレルギーといいます。
【アレルギーで起こる病気】
アレルギーは、気管支、鼻粘膜、結膜、口腔粘膜、皮膚など、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を吸入、付着した部位に起こります。アレルギーが起こる部位により、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎・結膜炎、口腔アレルギー、アトピー性皮膚炎、じんましんなどの病気を引き起こします。
【血液検査でわかる39項目のアレルギー検査】
症状がアレルギーによるものか確認すること、アレルゲンを特定することが、アレルギー治療では大切になります。4mL程度の採血で、39項目のアレルゲンを調べることができる検査を当院では積極的に行っています。
検査対象となるアレルゲン39項目は以下のとおりです。
吸入系アレルゲン <吸い込んで体に入るもので、アレルギーの原因となりやすいもの>
・室内のほこり :ダニ(夏~秋)、ハウスダスト(室内ほこり)
・動物 :猫、犬
・昆虫 :ガ、ゴキブリ
・樹木(花粉) :スギ(春)、ヒノキ(春)、ハンノキ(春)、シラカンバ(春)
・草(花粉) :カモガヤ(初夏)、オオアワガエリ(初夏)、ブタクサ(秋)、ヨモギ(秋)
・カビ :アルテルナリア(スズカビ)、アスペルギルス(コウジカビ)、カンジダ、マラセチア(皮膚のカビ)
・ゴム :ラテックス
食餌系アレルゲン <食べて体に入るもので、アレルギーの原因となりやすいもの>
・卵 :卵白、オボムコイド(加熱した卵)
・牛乳 :ミルク
・小麦、豆、穀物 :小麦、ピーナッツ、大豆、蕎麦、ごま、米
・甲殻類 :エビ、カニ
・果物 :キウイ、りんご、バナナ
・魚、肉類 :マグロ、サケ、サバ、牛肉、豚肉、鶏肉
【39項目アレルギー検査の対象患者、対象年齢、費用】
アレルギー物質に感作された(アレルギー症状を認めた)ときに初めてアレルギー検査が陽性となるため、今までに何らかのアレルギー症状を認めたことがある方に限り保険診療でアレルギー検査を行うことができます。対象年齢はおおむね3歳以上(採血しやすい血管があり、じっとしていられることが条件)となります。3歳未満の小児で採血しやすい血管がない場合は、この検査を行うことができません。その場合検査制度は劣りますが、指先の少量の血液で、吸入系アレルゲン8項目(ダニ・ゴキブリ・スギ・カモガヤ・ブタクサ・ヨモギ・犬・猫)、食物系アレルゲン3項目(卵白・小麦・乳)のアレルギー検査を行うことができます。検査代は保険適用で、自己負担3割の方で6000円程度となります。お子様は、市川市子ども医療費助成受給券を用いることが出来ます。
血液検査でわかる39項目のアレルギー検査ついてご興味がございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
2024-07-01 16:53:58
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【 梅雨の時季の咳 「咳ぜんそく」 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第101号を発行いたしました。
本号では、梅雨の時季の咳「咳ぜんそく」のお話を掲載いたします。
インフルエンザの大流行を終え、新型コロナウイルスの流行もようやく沈静化してきました。
今年も梅雨の季節がやってきました。今年の日本気象協会の「梅雨入り予想」では、九州北部~関東甲信~東北北部は、6月中旬に続々と梅雨入りし、平年よりも遅い梅雨入りとなるようです。毎年梅雨の季節に咳が長引く方、風邪薬を内服しても咳だけが長びいておさまらない方はいらっしゃいませんか。
梅雨の時期、秋の台風の時期など、季節の変わり目の咳でお困りの方は、「咳ぜんそく」かもしれません。
「気管支ぜんそく」とは、様々な原因で気管(空気の通り道)に、慢性の長びく(好酸球浸潤を伴う)炎症が起こる病気です。
つまり、「気管支喘息」=「気管支炎が長く続き、なかなか治らない病態。」と大まかに言い換えることが出来ます。
主な症状は、息苦しさ、咳、痰、のどや胸の違和感・いがいが感、鼻水、鼻づまりなどになります。
「気管支ぜんそく」の中で、息苦しさを伴わず、咳を主な症状とするものを、「咳ぜんそく」といいます。
「気管支ぜんそく」「咳ぜんそく」を引き起こす原因は、以下のように大きく5つに分けられます。
① 気候の変化(気温、湿度、気圧の変化などが、気管を刺激するため。)
② アレルギー・刺激物質の吸入(ほこり、花粉、カビ、喫煙、香水などが、気管を刺激するため。)
③ 疲労、精神的ストレス(心を支配する自律神経が気管に通じているため。)
④ 風邪(風邪のウイルスや菌が気管に炎症を起こし、気管の粘膜が刺激を受けやすくなるため。)
⑤ 妊娠・出産(妊娠による体のホルモン環境の変化や、育児などによる生活環境の急激な変化が要因。)
6月の梅雨の時期は、以下のように咳ぜんそくを引き起こしやすい要因がそろっています。
① 気温・気圧・湿度の変化が大きい。
② アレルギー物質である「ダニ」「カビ」が発生しやすい(湿度が高いため)。
③ イネ科の花粉「ネズミホソムギ」「カモガヤ」「オオアワガエリ」などが、江戸川の河川敷などから多く飛散する。
④ 新年度で職場や住環境が変わることによるストレス(五月病)
④ 夏かぜ「アデノウイルス」「エンテロウイルス」などの流行。
ぜんそくによる咳の場合は、特に以下の条件でひどくなることが多いといわれています。
① 夜布団に入るときや、寝ているとき、朝起きたとき。
② お風呂あがり、電車に乗るときなど、急激に気温や湿度や気圧が変化するとき。
③ しゃべるとき、歌うとき、ラーメンを食べるとき、強いにおいをかいだときなど、気管が刺激をうけるとき。
咳ぜんそくの治療は、気管支ぜんそくの治療と同じで、吸入ステロイド薬と吸入気管支拡張薬が中心となります。ステロイド薬は副作用が心配というイメージがあるかもしれませんが、吸入や点鼻のステロイド薬は、内服のステロイド薬と異なり、お子様や妊婦さんが使用しても安全ですので安心してください。
長引く咳、止まらない咳でお困りの方は、ぜひ当院にご相談下さい。
2024-05-28 19:05:43
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【 「イネ科の花粉症」の季節です 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。
きし内科クリニック通信 第100号では、昨年度に続いて今年もイネ科の花粉症のお話を掲載いたします。
あたたかくなり、江戸川の河川敷の散歩がとても心地よい季節になりました。
3月まで猛威をふるっていたインフルエンザの流行がひと段落したと思ったら、今度は再び新型コロナウイルス感染症の患者が増えている感じがします。感染症対策に終わりはなさそうです。
今年は昨年と比較してスギ・ヒノキの飛散量が少なかったようです。しかしイネ科の花粉症をお持ちの方はこれからが花粉症の本番です。イネ科の花粉の飛散は例年4月上旬ごろからから始まり、5月以降にピークを迎えるためです。
江戸川の河川敷に多くのイネ科の植物が植生しています。現在の市川市周辺の江戸川堤防では、イネ科の「ネズミホソムギ」を中心とする寒地型の外来牧草類が広く分布しています。
「ネズミホソムギ」(鼠細麦:イネ科ネズミムギ属)は、ネズミムギとホソムギの中間型の帰化植物で、別名を「イタリアンライグラス」といいます。緑化や飼料用に栽培される一年草または越年草で、丈は40-70cmになります。
「ネズミホソムギ」の花粉の飛散時期は5月中旬~8月上旬(ピークは5月中旬~6月下旬)になります。
その他の花粉症を引き起こすイネ科の植物に、「カモガヤ」「オオアワガエリ」があります。カモガヤの別名を「オーチャードグラス」、オオアワガエリの別名を「チモシー」といいます。ともに飼料用(主に採草用)として最も広く利用され、沖縄を除く全国で栽培されています。花粉の飛散時期は5月~8月になります。空き地・道端・畑の周辺などに、ほぼ日本全域に生息しています。
イネ科の花粉はスギ花粉のように広範囲に飛散しません。スギ花粉は10km以上飛散する一方、イネ科の花粉は多くて200m程度しか飛散しません。江戸川の河川敷を散歩すると花粉症の症状が悪くなる人は、イネ科の「ネズミホソムギ」の花粉症の可能性が高いと考えます。
ところで、イネ科の花粉症に罹患すると、口腔アレルギー症候群(花粉-食物アレルギー症候群)を引き起こす場合があることが知られています。口腔アレルギー症候群とは、果物や野菜を食べた際、約15分以内に唇や口の中にイガイガ感・かゆみ・腫れなどのアレルギー症状があらわれる病気です。特定の花粉に含まれる抗原物質と特定の果物・野菜に含まれる抗原物質で似ているものがあります。そのため特定の花粉に対してアレルギーを起こすと、特定の果物・野菜に対してもアレルギーを引き起こしてしまうことがあり、イネ科の花粉症に罹患すると特定の食物の口腔アレルギーを生じる原因になります。イネ科の花粉に含まれる抗原物質と似ている抗原をもつ食物は、ウリ科(メロン、スイカ)、ナス科(トマト、じゃがいも)、マタタビ科(キウイ)、ミカン科(オレンジ)、マメ科(ピーナッツ)が知られています。これらの果物や野菜を食べた後に口の中がイガイガする人は、イネ科の花粉症の可能性があります。
ゴールデンウイークが明けても花粉症の症状が続く方、血液採取によるアレルギー検査を希望の方、ダニやスギ花粉症の舌下免疫療法をご希望の方は、当院にお気軽にご相談ください。
2024-04-16 16:00:39
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きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第99号を発行いたしました。
本号では、「子宮頸がんワクチン」のお話を掲載いたします。
子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐための予防接種に用いるワクチンのことです。
子宮がんは大きくわけて、子宮の入り口である子宮頚部に生じる「子宮頚がん」と、子宮の奥に生じる「子宮体がん」の2種類に分類されます。子宮頸がんは主に、性交渉によるヒトパピローマウイルスの感染により生じます。子宮体がんの原因は女性ホルモンの分泌に関係しているといわれていますが、詳しい原因は現時点ではよくわかっていません。ヒトパピローマウイルスに感染しても約90%の人は子宮の細胞に異常をきたしませんが、ごく一部の人は前がん段階(子宮頚部異形成)を経て、数年から数十年かけて子宮頸がんになります。
日本では、年間約10,000人の女性が子宮頸がんに罹患し、約2,900人が子宮頸がんによって死亡しています。日本における子宮頸がんの罹患率および死亡率は年々増加傾向にあります。20〜30歳代の世代における女性特有のがんについてみてみると、乳がんや卵巣がん、子宮体がんと比較して、子宮頸がんの罹患率は増加傾向にあり、子宮頸がんは別名マザーキラーともいわれています。また、死亡率においても、他のがん種ではほぼ横ばいの推移となっている一方、子宮頸がんの死亡率は増加傾向にあります。
子宮頸がんワクチンの目的は、ヒトパピローマウイルスに対する免疫を作ることです。ヒトパピローマウイルスには200種類以上もの型が存在し、そのうち少なくとも15種類(ハイリスク型)が子宮頚がんの発生に関わっています。子宮頸がん全体の50~70%はヒトパピローマウイルス16型と18型が原因といわれています。現在、日本で認可されているHPVワクチンには、2価ワクチン、4価ワクチン、9価ワクチンの3種類があります。2価ワクチンは16型と18型に対するワクチンで、ワクチン接種後に抗体価が20年以上持続します。4価ワクチンは16型と18型に加えて、性感染症の尖圭コンジローマの原因の約90%を占める6型と11型の計4つの型に対するワクチンになりますが、抗体価は約5年しか持続しないといわれています。9価ワクチンは6・11・16・18型に加えて、ハイリスク型の31・33・45・52・58型の感染を予防することができ、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスの88.2%をカバーするとのデータが出ています(Sakamoto J et al. Papillomavirus Res. 2018)。また、9価ワクチン接種後に抗体価が5年以上持続することが現時点で確認されています。
子宮頸がんワクチンは、2013年4月に定期接種となりました。しかし子宮頸がんワクチン接種後に、ワクチン接種との因果関係が否定できない持続的な全身の痛み、歩行障害、けいれん、自律神経障害などの症状を認める患者様が散見されました。そのため、同年6月に定期接種の積極的推奨を控える通知が厚生労働省より通知されました。その後接種による副反応として疑われた歩行障害やけいれん、痛みや自律神経障害などの症状については、国内外で数多くの研究が行われ、HPVワクチンとの因果関係は示されませんでした。そのため2021年11月26日付け厚生労働省健康局長通知により、定期接種の勧奨が再開されています。
子宮頸がんワクチンの対象者は小学校6年生~高校1年生相当の女子で、予防接種法に基づき無料接種を受けることができます。対象年齢を過ぎた女性でも、1997年4月1日以降に生まれた方は、2025年3月31日までは無料で接種を受けることが可能です。予防効果の観点から26歳までは接種が推奨されています。接種スケジュールは、15歳未満の女子は初回・6か月後の合計2回の接種を行い、15歳以上の女子は初回・2か月後・6か月後の合計3回の接種を行います。子宮頸がんワクチンの接種後に起こりうる症状として、接種した部位の痛みや腫れなどの局所反応がありますが、多くは数日以内に改善します。また、アナフィラキシーは約96万回に1回とまれですが、念のため接種後30分はクリニック内で様子をみます。接種の痛みや不安で一時的に気分が悪くなったり、血管迷走神経反射(失神など)を起こしたりすることもあります。以前に注射や採血で血管迷走神経反射を起こしたことがある人は、事前にお伝えください。
当院では、現在は(最も子宮頸がんの予防効果が高い)9価ワクチンを接種しています。子宮頸がんワクチンについてわからないことがあれば、お気軽に当院にご相談ください。
2024-03-11 13:06:11
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【 「スギ花粉」が飛び始めました 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第98号を発行いたしました。 本号では、「スギ花粉症のお話」を掲載いたします。
2月入り、幼児から小中高校生を中心にB型インフルエンザが大流行しています。また今年に入り成人を中心に新型コロナウイルス感染症の新規患者数も増加(第10波)しています。新型コロナウイルス感染症は40歳以下の若年者には一般的にはインフルエンザより症状が軽い印象ですが、60歳以上の高齢者は相変わらず重症化しやすい傾向があるようです。新型コロナウイルス感染症患者が重症化しても、新型コロナウイルス患者専用の入院病床は相変わらず満床で全く入院できない状態が続いています。新型コロナウイルスに対する内服治療薬(ゾコーバ)は現時点で(3割負担で)9000円と、高額の自己負担料金が必要となります。新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを毎年必ず接種しましょう。
2月に入りスギ花粉が飛散開始しました。過去のクリニック通信でたびたび申し上げているように、私はひどいスギ・ヒノキ花粉症です。
日本気象協会ホームページによりますと、今年のスギ花粉飛散量は、過去10年の平均と比較すると、九州~東北で前シーズンよりやや多くなる見通しだそうです。花粉の飛散量は前年夏の気象条件が大きく影響するそうです。高温・少雨で日照時間が長い夏は、花芽が多く形成され翌年春の花粉飛散量が多くなる傾向があります。昨年の夏は猛暑となったため、今春の花粉飛散量はほとんどの地域で例年よりやや多くなりそうです。
飛散開始時期は例年並みで、九州から関東で2月上旬から飛散開始となるそうです。昨年までマスク着用のため花粉症の症状が弱かった方も、マスク着用をしていない今年は万全な花粉症対策が必要になりそうです。
スギ花粉症の一番の対策は、スギ花粉の吸入・接触を避けることです。スギ花粉は粒状物なので風が強い日は空気中に舞いますが、その後地面に落下します。また洋服にも付着します。空気中に舞っているスギ花粉をマスクで予防することはもちろんですが、地面や洋服に付着している花粉を吸いこまないことも重要になります。地面に落下している花粉を吸いこむことが最も多い時間は、夜にベッドや布団に顔をうずめて寝ているときになります。スギ花粉を避けるのに有効な対策として、布団やベッドにスギ花粉を付着させないこと、洋服に付着したスギ花粉を自宅に持ち帰らないことの2点が特に重要になります。
具体的には、「寝室の換気をしない」 「シーツや布団は部屋干しする」 「布団に花粉が付着した場合は掃除機で吸い取る」 「寝室の枕元に空気清浄機を設置する」 「衣服は部屋干しにする」 「特に寝具に花粉を付着させないように注意する」になります。
新型コロナウイルスの流行のため、マスクを着用することは慣れましたが、部屋の換気も行わなければいけなくなったためにスギ花粉の室内の侵入には特に注意が必要です。
スギ花粉によるアレルギー性炎症の総称をスギ花粉症といいます。具体的にはスギ花粉による「アレルギー性鼻炎」「アレルギー性結膜炎」「アレルギー性気管支炎」「アレルギー性皮膚炎」の全てを総称して、スギ花粉症というのです。スギはヒノキ科の植物のため、スギ花粉症患者のほとんどはヒノキ花粉症も合併し「スギ・ヒノキ花粉症」とも称されます。スギ・ヒノキ花粉の飛散時期は、1月下旬~5月上旬ごろになります。
スギ花粉症(スギ花粉によるアレルギー性炎症)の具体的な症状を、以下に示します。
【アレルギー性鼻炎】支炎鼻水、鼻づまり、くしゃみ、鼻のかゆみ・むずむず感、頭重感、前頭部痛
【アレルギー性結膜炎】炎目のかゆみ、充血、目のまわりの腫れ
【アレルギー性皮膚炎】炎皮膚のかゆみ、赤み、皮膚のかさつき(特に鼻~頬の辺りに多い)
【アレルギー性気管支炎】咳、痰、喉のいがいが感(スギ花粉によって誘発される「咳ぜんそく」とほぼ同じ症状です)
スギ花粉症の症状で、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみは有名ですが、いったん出始めると止まらなくなる咳(特に夜中に多い)や、皮膚のかゆみも花粉症の症状の可能性があるので注意が必要です。
風邪の症状とも似ていますが、目のかゆみを伴う場合や2週間以上症状が続く場合は、風邪ではなく花粉症を強く疑います。
花粉症の治療は、内服薬、点鼻薬、点眼薬などで行います。従来の花粉症治療薬は眠気を催すものが多かったのですが、眠くなりにくくある程度の効果が期待できる薬も開発されています。
スギ花粉の飛散が終わる5月中旬より「スギ花粉症舌下免疫療法」を合わせて行うことも可能です。
私自身のスギ花粉症治療の経験も踏まえながら、患者様の個々のニーズに合った最適な花粉症治療の提案を出来るように努めます。花粉症でお困りの方は是非当院にお気軽にご相談ください。
2024-02-19 09:27:47
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【 インフルエンザ・新型コロナが同時流行しています。今からでもインフルエンザワクチンを接種しましょう。 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第97号を発行いたしました。
本号では、「インフルエンザ・新型コロナ同時流行」のお話を掲載いたします。
2023年9月の初めから流行しているインフルエンザ感染症ですが、本ブログを記載している2024年1月14日時点でも流行が収まる気配が全くありません。
新型コロナウイルス流行後の感染予防の徹底のためか、2020年3月を最後に近年はインフルエンザの流行が全く起こりませんでした。そのため日本人のインフルエンザ抗体保有量も全体的に少なくなっています。2020年3月の最後のインフルエンザ流行以降に出生した0~3歳児は全くインフルエンザに対する抗体を持っておらず、インフルエンザに罹患する患者の年齢層も幼児や小児などの若年層が多くなっています。例年インフルエンザは学校・幼稚園・保育園から感染者が広がり、3学期が始まってからさらなる大流行を起こすことが多いです。インフルエンザに罹患すると、小児や幼児ではインフルエンザ脳症を合併し重症化するケースが過去に多く報告されています。現在流行しているインフルエンザはA型(H1N1)株とA型(H3N2)株の2種類ですが、高熱が続くなど比較的症状が重い印象があります。インフルエンザワクチンを接種すると、インフルエンザに罹患する確率が低下し、またインフルエンザに罹患した際も重症化を予防することができます。インフルエンザワクチン接種とインフルエンザ治療薬の服用で、有熱期間がかなり短縮している印象があります。インフルエンザワクチンを接種していない方は、今からでも遅くはないのでできるだけインフルエンザ予防接種を受けましょう。今年のインフルエンザワクチンも、昨年に続いてA型インフルエンザウイルス2種類、B型インフルエンザウイルス2種類、合計4種類のインフルエンザウイルスに対する抗体が含まれています。
2023年7月から10月まで続いていた新型コロナウイルス感染症の流行は通算第9波目であり、オミクロン株「XBB」系統「エリス」株(EG株)の流行でした。一旦流行は収まりましたが、再び昨年末より新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が増加に転じています(上図)。新たな変異株であるオミクロン株「BA.2」系統「JN.1」株の流行だそうです。「JN.1株」も変異株と同じオミクロン系統なので、JN.1株の潜伏期間は約3日(2日~5日)程度と考えられます。今のところの印象では、臨床症状も今までのオミクロン株と同様に発熱とのどの痛みが多いようです。
新型コロナは弱毒化の傾向にありますが、高齢者にとってはまだまだ侮れないウイルスです。高齢者や基礎疾患をお持ちの方は、できるだけ新型コロナワクチンの追加接種を行い、いつまで続くかわからない新型コロナ・インフルエンザの同時流行を乗り越えましょう。
「ワクチンで感染予防を行う」「風邪をひいたら高齢者に接しない」ことが大切と考えます。今後もインフルエンザ・新型コロナ感染症は、地球上からなくなる見込みはありません。風邪症状でお困りの方はお気軽に当院にご相談ください。最近は混雑のため予約が大変とりにくく、申し訳なく感じております。午後の予約であれば13時45分にネット予約を行うことで予約が取れる場合が多いと思いますのでよろしくお願いいたします。
2024-01-15 12:35:55
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