きし内科クリニック通信
【スギ花粉症の舌下免疫療法】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第111号を発行いたしました。
本号では、
「スギ花粉症舌下免疫療法」のお話を掲載いたします。
スギ・ヒノキの花粉症が猛威を振るっています。
NPO法人花粉情報協会のデータでは、今年の東京都千代田区のスギ花粉飛散開始日は2月15日で、2月の合計スギ花粉飛散量は427.9/㎠でした。昨年の2月の合計スギ花粉飛散量は957.9/㎠でしたので、今年の2月~3月初旬のスギ花粉飛散量は、昨年の飛散量を上回ってはいないようです。
日本気象協会ホームページによりますと、3月中旬以降も花粉の飛散量が多い日が連日続く見込みだそうです。スギ花粉飛散のピークは、東京では3月下旬までの予想です。スギ花粉飛散のピークが終わる頃になると、ヒノキ花粉飛散のピークを迎えます。ヒノキ花粉飛散のピークは、 東京では4月上旬から4月半ばにかけての予想です。4月半ば以降は花粉の飛散は次第に終息に向かいますが、例年同様にゴールデンウィークごろまでは花粉の飛散が続く見込みです。
スギ花粉によるアレルギー性炎症の総称をスギ花粉症といいます。具体的にはスギ花粉による
「アレルギー性鼻炎」「アレルギー性結膜炎」「アレルギー性気管支炎」「アレルギー性皮膚炎」の全てを総称して、スギ花粉症といいます。スギはヒノキ科の植物のため、スギ花粉症患者のほとんどはヒノキ花粉症も合併し「スギ・ヒノキ花粉症」とも称されます。
スギ・ヒノキ花粉の飛散時期は、通常は1月下旬~5月上旬ごろになります。
花粉症治療の基本は、以下の通りになります。
抗原回避(衣服や寝具の部屋干し、寝具への花粉の付着の防止、布団掃除、マスク着用など)
薬物治療(内服薬、点鼻薬、点眼薬など。)
これらの治療で効果不十分の場合は、スギ花粉症舌下免疫療法の適応になります。
スギ花粉症舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法、減感作療法)とは、スギ花粉を含むエキスを舌の下に投与し、少しずつ体内に吸収させることで、スギ花粉に対するアレルギー反応を弱めていく治療法です。
具体的には、薬を舌の下に1分間保持してから飲み込みます。これを1日1回、約4年間行うことで、約90%の患者さんのスギ花粉症の症状が軽減するといわれています。治療は保険適用になります。スギ花粉症とダニアレルギーの舌下免疫療法を合わせると、これまで約800例の患者さんが当院で治療を行っています。
スギ花粉症舌下免疫療法は、5歳以上の年齢の方全てに行うことが出来ますが、新規に開始することができる時期は、スギ・ヒノキ花粉が飛散していない時期(5月GW明け~12月末まで)になります。
なお、重症ぜんそくの方、ステロイド内服中(点鼻・吸入ステロイドは可)の方、抗がん剤やβ遮断薬など特定の薬を使用されている方は治療を行うことができません。妊娠中の方は妊娠中に新規に治療を開始することはできませんが、内服治療中に懐妊しても問題なく治療を継続することができます。
当院では、私自身のスギ花粉症治療の経験も踏まえながら、患者様の個々のニーズに合った最適な花粉症治療の提案を出来るように努めています。花粉症でお困りの方は是非当院にお気軽にご相談ください。
2025-03-31 10:00:05
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【スポーツを始めたら「運動誘発ぜんそく」に注意しましょう】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第110号を発行いたしました。
本号では、激しいスポーツを始めた後に発症する
「運動誘発ぜんそく」のお話を掲載いたします。
「気管支ぜんそく」とは、様々な原因で気管(空気の通り道)に、慢性の長びく(好酸球浸潤を伴う)炎症が起こる病気です。つまり、
「気管支喘息」=「気管支炎が長く続き、なかなか治らない病態。」と大まかに言い換えることが出来ます。
主な症状は、
息苦しさ、咳、痰、のどや胸の違和感・いがいが感、鼻水、鼻づまりなどになります。
「気管支ぜんそく」の中で、息苦しさを伴わず、咳を主な症状とするものを、
「咳ぜんそく」ということもあります。
「気管支ぜんそく」「咳ぜんそく」を引き起こす原因は、以下のように大きく5つに分けられます。
①気候の変化(気温、湿度、気圧の変化などが、気管を刺激するため。)
②アレルギー・刺激物質の吸入(ほこり、花粉、カビ、喫煙、香水などが、気管を刺激するため。)
③疲労、精神的ストレス(心を支配する自律神経が気管に通じているため。)
④風邪(風邪のウイルスや菌が気管に炎症を起こし、気管の粘膜が刺激を受けやすくなるため。)
⑤妊娠・出産(妊娠による体のホルモン環境の変化や、育児などによる生活環境の急激な変化が要因。)
気管支ぜんそくのうち、運動に伴って発作が誘発されるものを運動誘発ぜんそく(アスリートぜんそく)と呼んでいます。運動誘発ぜんそくの原因は、①運動による激しい呼吸、②冷気・ほこり・アレルギー誘発物質などの吸入、③気道の乾燥など、気管への様々な刺激などが複合して発症すると考えられます。高温で多湿な夏季よりも、気温と湿度の低い寒冷期の運動で症状が起こりやすい傾向があります。
ここで、スポーツ選手のぜんそく罹患率を調査した英国の病院の研究結果を紹介いたします。対象はオリンピック候補となる一流スポーツ選手で18歳以上の非喫煙者122人です(女性45%、平均年齢24歳)。結果は約半数(58%)の人が運動で誘発性する呼吸器症状を訴えました。内訳は、咳44%、喘鳴(ぜーぜー)24%、胸のしめつけ感32%、呼吸困難18%。全体の32%で喘息症状を認め、全員がぜんそくの吸入治療薬を使用していたそうです。
2. Hull JH. et al. The benefits of a systemic assessment of respiratory health in illness-susceptible athletes. Eur Respir J 2021; 57: 2003722
お子様がスポーツを行うことは、健康な発育にとても重要な役割を果たすと考えます。その反面、激しいスポーツを行うと一定程度の体への負担が生じることも事実です。スポーツを始めた人で、気管支ぜんそくの症状が再燃した人、新たに気管支ぜんそくの症状を認めた人、咳が止まらなくなった人は運動誘発ぜんそくの可能性を考える必要があると思います。運動誘発ぜんそくを起こしやすいスポーツは、常に走り回っていて運動負荷が大きく、持久力が必要な運動(サッカー、バスケット、ダンス、フルマラソンなど)に多い印象です。また気温の低い場所で行うスケートやスキーでも、運動誘発ぜんそくは起こりやすくなります。一方、気道が湿度で潤う水泳や、適度な運動では、運動誘発ぜんそくは起こりにくいとされています。
運動誘発ぜんそくは、適切な治療による管理ができれば発作は起こりにくくなりますので、運動制限をする必要はありません。ぜんそくのない人と同じようにスポーツに取り組むことができますが、運動をしている以上は運動誘発ぜんそくの完全治癒を目指すことが難しいことも事実です。適切な治療を行うためにも運動誘発ぜんそくかもしれないと思ったらぜひ当院にご相談下さい。
2025-03-06 14:24:23
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【スギ花粉が飛び始めました】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第109号を発行いたしました。
本号では、「スギ花粉症のお話」を掲載いたします。
1月下旬よりスギ花粉の飛散が開始しました。過去のクリニック通信でたびたび申し上げているように、私はひどいスギ・ヒノキ花粉症なのですでに花粉症の症状が現れています。
日本気象協会ホームページによりますとスギ花粉の飛散開始時期は例年並みで、関東はで2月中旬から本格的な飛散開始となるようです。スギ花粉飛散のピークは東京で(例年並みの)2月下旬から、ピークは1か月ほど続く見込みだそうです。また、ヒノキ花粉飛散のピークは(3月の気温が高めのため例年より早く)3月下旬から4月上旬になり、ピークは2週間ほど続く見込みだそうです。
スギ花粉症の一番の対策は、スギ花粉の吸入・接触を避けることです。スギ花粉は粒状物なので風が強い日は空気中に舞いますが、その後地面に落下します。また洋服にも付着します。空気中に舞っているスギ花粉をマスクで予防することはもちろんですが、地面や洋服に付着している花粉を吸いこまないことも重要になります。地面に落下している花粉を吸いこむことが最も多い時間は、夜にベッドや布団に顔をうずめて寝ているときになります。スギ花粉を避けるのに有効な対策として、布団やベッドにスギ花粉を付着させないこと、洋服に付着したスギ花粉を自宅に持ち帰らないことの2点が特に重要になります。
具体的には、
「窓を開けて寝室の換気をしない」 「シーツや布団は部屋干しする」 「布団に花粉が付着した場合は掃除機で吸い取る」 「寝室の枕元に空気清浄機を設置する」 「衣服は部屋干しにする」 「特に寝具に花粉を付着させないように注意する」になります。
新型コロナウイルス流行の経験からマスクを着用することは慣れましたが、感染予防には部屋の換気も必要ため、スギ花粉の室内の侵入には特に注意が必要です。
スギ花粉によるアレルギー性炎症の総称をスギ花粉症といいます。具体的にはスギ花粉による「アレルギー性鼻炎」「アレルギー性結膜炎」「アレルギー性気管支炎」「アレルギー性皮膚炎」の全てを総称して、スギ花粉症というのです。スギはヒノキ科の植物のため、スギ花粉症患者のほとんどはヒノキ花粉症も合併し「スギ・ヒノキ花粉症」とも称されます。
スギ・ヒノキ花粉の飛散時期は、例年1月下旬~5月上旬ごろになります。
スギ花粉症(スギ花粉によるアレルギー性炎症)の具体的な症状を、以下に示します。
【アレルギー性鼻炎】 鼻水、鼻づまり、くしゃみ、鼻のかゆみ・むずむず感、頭重感、前頭部痛
【アレルギー性結膜炎】 目のかゆみ、充血、目のまわりの腫れ
【アレルギー性皮膚炎】 皮膚のかゆみ、赤み、皮膚のかさつき(特に鼻~頬の辺りに多い)
【アレルギー性気管支炎】 咳、痰、喉のいがいが感(スギ花粉によって誘発される「咳ぜんそく」とほぼ同じ症状です)
スギ花粉症の症状で、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみは有名ですが、いったん出始めると止まらなくなる咳(特に夜中に多い)や、皮膚のかゆみも花粉症の症状の可能性があるので注意が必要です。
風邪の症状とも似ていますが、目のかゆみを伴う場合や2週間以上症状が続く場合は、風邪ではなく花粉症を強く疑います。
花粉症の治療は、内服薬、点鼻薬、点眼薬などで行います。従来の花粉症治療薬は眠気を催すものが多かったのですが、
眠くなりにくくある程度の効果が期待できる薬も開発されています。
スギ花粉の飛散が終わる5月中旬より
「スギ花粉症舌下免疫療法」を合わせて行うことも可能です。
私自身のスギ花粉症治療の経験も踏まえながら、患者様の個々のニーズに合った最適な花粉症治療の提案を出来るように努めます。花粉症でお困りの方は是非当院にお気軽にご相談ください。
2025-01-28 09:20:37
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【インフルエンザが大流行。新型コロナウイルスも流行り始めています。】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第108号を発行いたしました。
2016年4月に開院した当院も、2025年で10年目を迎えることが出来ました。これからも宜しくお願い致します。
本号では、「インフルエンザ・新型コロナ同時流行」のお話を掲載いたします。
2024年12月の初めからインフルエンザが大流行しています。
下図は、東京都感染症情報センターによる過去5年間のインフルエンザの定点医療機関当たりの患者報告数とインフルエンザの型別検出割合をグラフで示したものです。
定点医療機関当たり患者報告数 2025年1月1日(第48週)まで
現在流行しているインフルエンザはA型(H1N1)株です。急に発症する高熱、悪寒、関節痛が特徴です。
インフルエンザに対する抗体を持っていない場合、小児や高齢者は重症化するリスクが高まります。インフルエンザ予防接種をうけてインフルエンザの重症化をおさえることが大切であると考えます。
インフルエンザワクチンを接種していない方は、今からでも遅くはないのでできるだけインフルエンザ予防接種を受けましょう。今年のインフルエンザワクチンも、昨年に続いてA型インフルエンザウイルス2種類、B型インフルエンザウイルス2種類、合計4種類のインフルエンザウイルスに対する抗体が含まれています。
また、2024年12月より、新型コロナウイルスの感染者数が再び増加に転じています(下図:NHKより)。
2024年5月からの新型コロナウイルス感染症の流行(通算第11波目)は、オミクロン株「BA.2」系統の「KP.3」変異株の流行でした。今回の流行(通算第12波目)も同じ「KP.3」株の流行のようです。
オミクロン系統KP.3株の潜伏期間は約3日(2日~5日)程度と考えられます。臨床症状は、発熱とのどの痛みが多いようです。新型コロナウイルス感染症は若年者においては弱毒化の傾向にあり、小児や若年成人が罹患してもほとんどただの風邪と見分けがつかない場合も多いです。しかし高齢者、特に基礎疾患を持つ高齢者は重症化の恐れがあり注意が必要です。高齢者が新型コロナに罹患した場合は、重症化予防効果があると考えられる新型コロナウイルスに対する治療薬(エンシトレルビル:ゾコーバ)の内服をお勧めしていますが、薬価が高く自己負担額が3割負担の方で約15500円となっています。高齢者や基礎疾患をお持ちの方は、できるだけ新型コロナワクチン接種を行いましょう。
「ワクチンで感染予防を行う」「風邪をひいたら高齢者に接しない」ことが大切と考えます。今後もインフルエンザ・新型コロナ感染症は、地球上からなくなる見込みはありません。風邪症状でお困りの方はお気軽に当院にご相談ください。最近は混雑のため予約が大変とりにくく、申し訳なく感じております。午後の予約であれば13時45分ちょうどにネット予約を行うことで予約が取れる場合が多いと思いますのでよろしくお願いいたします。
2025-01-15 09:56:59
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【「インフルエンザの流行が始まりました」今からでもインフルエンザワクチンを接種しましょう。】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第107号を発行いたしました。
インフルエンザの流行が始まり、当院でも12月に入ってからインフルエンザの患者数が急増しています。
下図は、東京都感染症情報センターによる過去5年間のインフルエンザの定点医療機関当たりの患者報告数と
インフルエンザの型別検出割合をグラフで示したものです。
定点医療機関当たり患者報告数 2024年12月1日(第48週)まで
新型コロナウイルスの流行による感染予防の徹底のため、2021年までの2年間は冬期にインフルエンザの流行が全く起こりませんでした。そのため日本人のインフルエンザ抗体の保有量が全体的に少なくなりました。その反動で、2022年の冬に再びインフルエンザの流行が始まり、2023年(昨年)の冬はインフルエンザが大流行したのは記憶に新しいと思います。その後、新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いたため、今までなりを潜めていた小児感染症が、再び流行し始めました。一昨年夏はRSウイルス感染症、今年春は溶連菌感染症、昨年と今年の夏は手足口病、今年の夏から秋にかけてはマイコプラズマ感染症が大流行しました。今冬における次の流行はインフルエンザの感染症になるようです。現在流行しているインフルエンザはA型(H1N1)株です。急に発症する高熱、悪寒、関節痛が特徴です。
インフルエンザに対する抗体を持っていない場合、小児や高齢者は重症化するリスクが高まります。インフルエンザ予防接種をうけてインフルエンザの重症化をおさえることが大切であると考えます。 インフルエンザワクチンを接種すると、インフルエンザに罹患する確率が低下し、またインフルエンザに罹患した際も重症化を予防することができます。インフルエンザワクチン接種とインフルエンザ治療薬の服用で、有熱期間がかなり短縮している印象があります。インフルエンザワクチンを接種していない方は、今からでも遅くはないのでできるだけインフルエンザ予防接種を受けましょう。今年のインフルエンザワクチンも、昨年に続いてA型インフルエンザウイルス2種類、B型インフルエンザウイルス2種類、合計4種類のインフルエンザウイルスに対する抗体が含まれています。
インフルエンザワクチンの接種料金は、昨年と同様1回3500円(税込み)です。2回接種の方で、当院で2回目の接種を行う場合は、2回目の接種料金が3000円に減額になります。65歳以上の市川市在住の方は、高齢者インフルエンザ予防接種の医療費助成が受けられます(1回1500円に減額)ので、高齢者インフルエンザ予防接種専用の問診票を持参して来院してください。
風邪症状でお困りの方はお気軽に当院にご相談ください。最近は混雑のため予約が大変とりにくく、申し訳なく感じております。午前中の予約が一杯の場合、午後の予約であれば14時45分ちょうどにネット予約を行うと予約が取れる場合が多いと思いますのでよろしくお願いいたします。
2024-12-10 09:52:02
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【 インフルエンザワクチンを接種しましょう 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第106号を発行いたしました。
本号では、「インフルエンザ予防接種」について掲載いたします。
10月1日より今年のインフルエンザ予防接種が開始しました。
インフルエンザの予防接種を希望の方は、通常の診察と同様に診療時間内に受診してください(インターネット予約をお願い致します)。
インフルエンザワクチンと、新型コロナワクチンなどの他のワクチンとの接種間隔の規定はありません。インフルエンザワクチンは他のワクチン間隔を空けずに接種することができ、また他のワクチンと同時に接種することもできます。
下図は、東京都感染症情報センターによる過去5年間のインフルエンザの定点医療機関当たりの患者報告数をグラフで示したものです。
定点医療機関当たり患者報告数 2024年11月3日(第44週)まで

新型コロナウイルスの流行による感染予防の徹底のため、2021年までの2年間は冬期にインフルエンザの流行が全く起こりませんでした。そのため日本人のインフルエンザ抗体の保有量が全体的に少なくなりました。その反動で、2022年の冬に再びインフルエンザの流行が始まり、2023年(昨年)の冬はインフルエンザが大流行したのは記憶に新しいと思います。新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いたため、今までなりを潜めていた小児感染症が、再び流行し始めています。一昨年夏はRSウイルス感染症、今年春は溶連菌感染症、昨年と今年の夏は手足口病、現在はマイコプラズマ感染症が大流行しています。今冬における次の流行はインフルエンザなる可能性は高いと考えます。インフルエンザに対する抗体を持っていない場合、小児や高齢者は重症化するリスクが高まります。インフルエンザ予防接種をうけてインフルエンザの重症化をおさえることが大切であると考えます。
今年の接種料金は、昨年と同様1回3,500円(税込み)です。2回接種の方が当院で2回とも接種を行う場合は、2回目の接種料金が3,000円に減額になります。
65歳以上の市川市在住の方は、高齢者インフルエンザ予防接種の医療費助成が受けられます(1回1,500円に減額)ので、高齢者インフルエンザ予防接種専用の問診票を持参して来院してください。
成人(13歳以上) :1回接種(成人は過去のインフルエンザ感染による抗体を持っているため)
小児(生後6か月~12歳):2回接種(2~4週間隔で)(若年者は十分な抗体を持っていないため)
小学生以下のお子様のインフルエンザ予防接種は2回接種が必要です。
インフルエンザ予防接種についてご不明な点がございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
2024-11-11 14:27:55
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【 マイコプラズマ感染症が流行しています。 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第105号を発行いたしました。
本号では、「マイコプラズマ感染症」についてお話いたします。
マイコプラズマ肺炎が流行しています。東京都感染症センターの報告によると、基幹定点医療機関から報告された放生国患者数が過去25年間で最大となっています。特に東京都東部(隅田川以東)の感染症患者数が多いため、隣接する市川市の患者数も相対的に多数であると考えられます。院長の私もつい最近にマイコプラズマ肺炎に罹患して大変つらい思いをしました。

マイコプラズマ感染症は、主に子どもや若者に多くみられる感染症です。全体のうち約80%が14歳以下で発症しており、そのピークは小学校低学年となっています。マイコプラズマ感染症とは、マイコプラズマという病原体(細胞壁をもたない細菌)の感染によっておこる感染症です。
マイコプラズマの感染経路は、飛沫感染(咳やくしゃみなどでウイルスなどが飛び散り、人に感染する事)です。マイコプラズマが気管の粘膜に侵入し、2~3週間の潜伏期間を経てから発症します。マイコプラズマは主に下気道に感染します。マイコプラズマが下気道に感染しても、軽い風邪症状で自然に治ってしまう人もいれば、気管支炎になり頑固な咳だけが(ひどいときは)1か月以上長引くこともあります。また多くの人がマイコプラズマ肺炎を発症することが特徴です。潜伏期間が長いため、家族の間でだらだらとひどい咳風邪が続いている場合はマイコプラズマ感染症を強く疑います。
症状は、頑固な咳、発熱が特徴です。その割に体調は比較的元気なことが多く、インフルエンザの時のようにぐったりしないことも多いです。そのため英語で 「walking pneumonia」(日本語訳:歩ける肺炎)と言われることもあります。鼻水、のどの痛みの症状は特徴的な症状ではなく、ある人もない人もいます。しかし一部の患者は重症化し、入院点滴治療が必要になることもあるので注意が必要です。
マイコプラズマ肺炎の診断は、発熱や頑固な咳を認める場合に、胸部レントゲン写真や、咽頭ぬぐい液マイコプラズマ迅速検査(診断感度は50%~70%)で行います。治療は、抗生剤の内服を行います。普通の抗生剤(ペニシリン系、セフェム系)は効果がなく、マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗生剤を用います。最近はマクロライド系の抗生剤が効かない薬剤耐性マイコプラズマが流行しており注意を必要とします。
マイコプラズマに一度感染すると抗体ができますが、その抗体は一生続くものではなく何回も感染を繰り返します。また、気管支ぜんそくや、咳ぜんそくを持病にもつ方は、マイコプラズマの感染をきっかけとして、ぜんそくの症状が悪化することが多いために注意が必要です。
秋~冬に向かってインフルエンザや新型コロナウイルスの新たな流行も迫っています。マイコプラズマ感染予防のため、こまめな手洗い、適切なマスク着用などに努めましょう。
2024-10-02 10:15:19
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【 2024年のインフルエンザ予防接種専門外来 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第104号を発行いたしました。
本号では、「2024年のインフルエンザ予防接種専門外来」のお話を掲載いたします。
今年のインフルエンザ予防接種は10月1日より開始する予定です。インフルエンザの予防接種を希望の方は、通常の診察と同様に診療時間内に受診してください(インターネット予約をお願い致します)。
インフルエンザワクチンの接種は10月から12月の間に行いましょう。
新型コロナウイルス感染症の流行のため、2020年度、2021年度は冬期にインフルエンザの流行が全く起こりませんでした。2022年度の冬はA型インフルエンザの小さな流行のみが起りました。そのため日本人のインフルエンザ抗体の保有量は全体的に少なくなっていました。その隙をつくように、昨年度(2023年度)は、9月から1月にかけてインフルエンザA型(H1N1)株とA型(H3N2)株の2種類が、1月から4月にかけてインフルエンザB型株が、小児を中心に大流行しました。昨年のインフルエンザは高熱が続くなど比較的症状が重い印象がありました。
今年のインフルエンザワクチンも、昨年に続いてA型インフルエンザウイルス2種類、B型インフルエンザウイルス2種類、合計4種類のインフルエンザウイルスに対する抗体が含まれています。
インフルエンザワクチンは、他のワクチン(新型コロナワクチンを含む)との接種間隔の規定はありません。
成人(13歳以上) :1回接種(成人は過去のインフルエンザ感染による抗体を持っているため)
小児(生後6か月~12歳):2回接種(2~4週間隔で)(若年者は十分な抗体を持っていないため)
今年も特定の土曜日の午後に、「インフルエンザ予防接種 専門外来」を臨時開院いたします。
完全予約制になります。インフルエンザ予防接種以外の診察は原則として行いません。
なお、インフルエンザワクチンの在庫が不足している場合は、インフルエンザ予防接種専門外来は開院しません。申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
【2024年のインフルエンザ予防接種専用外来の開催日時】
(14時から17時まで。合計3日間。各日先着200名。)
10月 : 10/5(土)、10/26(土)
11月 : 11/16(土)
当日13時より公式ホームページから先着200名、インターネットのみでの予約とします。ネット環境のない方は、土曜日午後のインフルエンザ予防接種専門外来ではなく、通常の診療時間内にインフルエンザの予防接種を受けてください。
予約番号によって下記の通り来院時間を振り分ける方法としました。よろしくお願いいたします。
予約番号1~40番の方は、14時~14時30分 に来院してください。
予約番号41~70番の方は、14時30分~15時 に来院してください。
予約番号71~100番の方は、15時~15時30分 に来院してください。
予約番号101~140番の方は、15時30分~16時 に来院してください。
予約番号141~170番の方は、16時~16時30分 に来院してください。
予約番号171~200番の方は、16時30分~17時 に来院してください。
2024年の接種料金は、昨年と同様1回3500円(税込み)です。2回接種の方で、当院で2回目の接種を行う場合は、2回目の接種料金が3000円に減額になります。65歳以上の市川市在住の方は、高齢者インフルエンザ予防接種の医療費助成が受けられます(1回1500円に減額)ので、高齢者インフルエンザ予防接種専用の問診票を持参して来院してください。
インフルエンザ予防接種についてご不明な点がございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
2024-08-30 10:17:16
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【 大人の「新型コロナ感染症」と、幼児の「手足口病」が流行しています。 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第103号を発行いたしました。
本号では、「新型コロナ感染症の流行(第11波)」と、「手足口病」についてお話いたします。
成人や小学校高学年以上の小児には「新型コロナウイルス感染症」が、幼児には「手足口病」が大流行しています。
2024年5月の下旬より、新型コロナウイルスの感染者数が再び増加に転じています(下図:NHKより)。
2024年1月から2024年3月まで続いていた新型コロナウイルス感染症の流行は通算第10波目であり、新たな変異株であるオミクロン株「BA.2」系統「JN.1」株の流行でした。今回の、2024年5月からの新型コロナウイルス感染症の流行(通算第11波目)は、オミクロン株「BA.2」系統の「KP.3」変異株の流行だそうです。
「KP.3」株も「JN.1」株と同じオミクロン系統なので、KP.3株の潜伏期間は約3日(2日~5日)程度と考えられます。今のところの印象では、臨床症状も今までのオミクロン株と同様に発熱とのどの痛みが多いようです。新型コロナウイルス感染症は若年者においては弱毒化の傾向にあり、小児や若年成人が罹患してもほとんどただの風邪と見分けがつかないことも多いですが、高齢者特に基礎疾患を持つ高齢者は重症化の恐れがあり注意が必要です。高齢者は重症化予防効果があると考えられる新型コロナウイルスに対する治療薬(エンシトレルビル:ゾコーバ)の内服をお勧めしていますが、薬価が高く自己負担額が3割負担の方で約15500円となっています。
また、幼児の間では「手足口病」が大流行しています。
手足口病は4歳位までの幼児を中心に夏季に流行が見られる疾患です。学童以上の年齢層の大半は既にこれらのウイルスの感染を受けています。成人での発症はあまり多くありませんが、成人が発症すると痛みを伴うなど症状が強く表れることがあるので注意が必要です。終生免疫は獲得されないため、その後もどの年齢でも再感染は起こります。
エンテロウイルスに属する、コクサッキーウイルスA16、A6、エンテロウイルス71などが手足口病の原因ウイルスになります。
手足口病の感染経路は、
飛沫感染、
接触感染、
糞口感染の3つになります。
飛沫感染:咳やくしゃみなどでウイルスなどが飛び散り、人に感染する事。
接触感染:触れたり、さわったり、間接的な接触などによってウイルスが人に感染する事。
糞口感染:排泄物によって人に感染する事。
潜伏期間は2~5日です。発熱後1~2日で口の中の痛み・水泡を伴った発疹が出現します。のどの痛み・食欲不振も伴います。発疹は手のひらや足の裏、おしりなどに出現し、痛みを伴うこともあります。症状は約1週間から10日間続きます。発疹・水疱がかさぶたになり、乾燥して元通りに治るまでは、他人に感染させる恐れがあります。この期間は発疹・水疱部分の他に、唾液や鼻水からもウイルスが排出されます。また発疹が消失した後も、約1か月間は排泄物にウイルスが残る場合があり、症状を認めてから約1ヶ月間は他人にうつる可能性があるので注意が必要です。特別な治療法は無く、症状に応じた対症療法が行われます。ウイルス感染のため抗生剤は無効です。
新型コロナウイルスや、夏かぜの予防のため、こまめな手洗いなど感染予防に努めましょう。
2024-07-17 16:29:35
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【 血液検査でわかる39項目のアレルギー検査 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第102号を発行いたしました。
本号では、「アレルギー検査(血液検査でわかる39項目のアレルギー検査)」のお話を掲載いたします。
【アレルギーとは】
私たちの身体には、外から身体に害を及ぼす異物(細菌・ウイルスなど)が入ってきた時に、その異物を排除しようとする
「免疫」とういう機能が備わっています。「免疫」は細菌やウイルスから身体を守ってくれる大切なシステムなのですが、この免疫システムが過剰に働いてしまうことで、通常は身体に害のないもの(ほこり・花粉・食べ物など)に反応してしまう事があます。これを
アレルギーといいます。
【アレルギーで起こる病気】
アレルギーは、気管支、鼻粘膜、結膜、口腔粘膜、皮膚など、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を吸入、付着した部位に起こります。アレルギーが起こる部位により、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎・結膜炎、口腔アレルギー、アトピー性皮膚炎、じんましんなどの病気を引き起こします。
【血液検査でわかる39項目のアレルギー検査】
症状がアレルギーによるものか確認すること、アレルゲンを特定することが、アレルギー治療では大切になります。4mL程度の採血で、39項目のアレルゲンを調べることができる検査を当院では積極的に行っています。
検査対象となるアレルゲン39項目は以下のとおりです。
吸入系アレルゲン <吸い込んで体に入るもので、アレルギーの原因となりやすいもの>
・室内のほこり :ダニ(夏~秋)、ハウスダスト(室内ほこり)
・動物 :猫、犬
・昆虫 :ガ、ゴキブリ
・樹木(花粉) :スギ(春)、ヒノキ(春)、ハンノキ(春)、シラカンバ(春)
・草(花粉) :カモガヤ(初夏)、オオアワガエリ(初夏)、ブタクサ(秋)、ヨモギ(秋)
・カビ :アルテルナリア(スズカビ)、アスペルギルス(コウジカビ)、カンジダ、マラセチア(皮膚のカビ)
・ゴム :ラテックス
食餌系アレルゲン <食べて体に入るもので、アレルギーの原因となりやすいもの>
・卵 :卵白、オボムコイド(加熱した卵)
・牛乳 :ミルク
・小麦、豆、穀物 :小麦、ピーナッツ、大豆、蕎麦、ごま、米
・甲殻類 :エビ、カニ
・果物 :キウイ、りんご、バナナ
・魚、肉類 :マグロ、サケ、サバ、牛肉、豚肉、鶏肉
【39項目アレルギー検査の対象患者、対象年齢、費用】
アレルギー物質に感作された(アレルギー症状を認めた)ときに初めてアレルギー検査が陽性となるため、今までに何らかのアレルギー症状を認めたことがある方に限り保険診療でアレルギー検査を行うことができます。対象年齢はおおむね3歳以上(採血しやすい血管があり、じっとしていられることが条件)となります。3歳未満の小児で採血しやすい血管がない場合は、この検査を行うことができません。その場合検査制度は劣りますが、指先の少量の血液で、吸入系アレルゲン8項目(ダニ・ゴキブリ・スギ・カモガヤ・ブタクサ・ヨモギ・犬・猫)、食物系アレルゲン3項目(卵白・小麦・乳)のアレルギー検査を行うことができます。検査代は保険適用で、自己負担3割の方で6000円程度となります。お子様は、市川市子ども医療費助成受給券を用いることが出来ます。
血液検査でわかる39項目のアレルギー検査ついてご興味がございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
2024-07-01 16:53:58
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