【 大人の「新型コロナ感染症」と、幼児の「手足口病」が流行しています。 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第103号を発行いたしました。
本号では、「新型コロナ感染症の流行(第11波)」と、「手足口病」についてお話いたします。
成人や小学校高学年以上の小児には「新型コロナウイルス感染症」が、幼児には「手足口病」が大流行しています。
2024年5月の下旬より、新型コロナウイルスの感染者数が再び増加に転じています(下図:NHKより)。
2024年1月から2024年3月まで続いていた新型コロナウイルス感染症の流行は通算第10波目であり、新たな変異株であるオミクロン株「BA.2」系統「JN.1」株の流行でした。今回の、2024年5月からの新型コロナウイルス感染症の流行(通算第11波目)は、オミクロン株「BA.2」系統の「KP.3」変異株の流行だそうです。
「KP.3」株も「JN.1」株と同じオミクロン系統なので、KP.3株の潜伏期間は約3日(2日~5日)程度と考えられます。今のところの印象では、臨床症状も今までのオミクロン株と同様に発熱とのどの痛みが多いようです。新型コロナウイルス感染症は若年者においては弱毒化の傾向にあり、小児や若年成人が罹患してもほとんどただの風邪と見分けがつかないことも多いですが、高齢者特に基礎疾患を持つ高齢者は重症化の恐れがあり注意が必要です。高齢者は重症化予防効果があると考えられる新型コロナウイルスに対する治療薬(エンシトレルビル:ゾコーバ)の内服をお勧めしていますが、薬価が高く自己負担額が3割負担の方で約15500円となっています。
また、幼児の間では「手足口病」が大流行しています。
手足口病は4歳位までの幼児を中心に夏季に流行が見られる疾患です。学童以上の年齢層の大半は既にこれらのウイルスの感染を受けています。成人での発症はあまり多くありませんが、成人が発症すると痛みを伴うなど症状が強く表れることがあるので注意が必要です。終生免疫は獲得されないため、その後もどの年齢でも再感染は起こります。
エンテロウイルスに属する、コクサッキーウイルスA16、A6、エンテロウイルス71などが手足口病の原因ウイルスになります。
手足口病の感染経路は、
飛沫感染、
接触感染、
糞口感染の3つになります。
飛沫感染:咳やくしゃみなどでウイルスなどが飛び散り、人に感染する事。
接触感染:触れたり、さわったり、間接的な接触などによってウイルスが人に感染する事。
糞口感染:排泄物によって人に感染する事。
潜伏期間は2~5日です。発熱後1~2日で口の中の痛み・水泡を伴った発疹が出現します。のどの痛み・食欲不振も伴います。発疹は手のひらや足の裏、おしりなどに出現し、痛みを伴うこともあります。症状は約1週間から10日間続きます。発疹・水疱がかさぶたになり、乾燥して元通りに治るまでは、他人に感染させる恐れがあります。この期間は発疹・水疱部分の他に、唾液や鼻水からもウイルスが排出されます。また発疹が消失した後も、約1か月間は排泄物にウイルスが残る場合があり、症状を認めてから約1ヶ月間は他人にうつる可能性があるので注意が必要です。特別な治療法は無く、症状に応じた対症療法が行われます。ウイルス感染のため抗生剤は無効です。
新型コロナウイルスや、夏かぜの予防のため、こまめな手洗いなど感染予防に努めましょう。
2024-07-17 16:29:35
きし内科クリニック通信