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【 今年はインフルエンザワクチンを接種するべきか 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第68号を発行いたしました。 本号では、「2021年のインフルエンザワクチン」のお話を掲載いたします。
(本ブログを記載している2020年8月16日時点で)新型コロナウイルス感染症の日本国内の新規感染者数が日々増加しています。新型コロナウイルス感染症は高齢者がより重症化する傾向がありますが、コロナワクチンの接種で重症化を予防することができます。東京医科歯科大学で入院している中等症以上の新型コロナウイルス感染症患者の大部分はコロナワクチン未接種者とのことです。若年者は重症化する可能性は高くはありませんが、インフルエンザのような高熱が数日~14日間程度続きますので相当つらい病気であることは間違いありません。真夏にも強い感染力をもつ新型コロナウイルス感染症は、現時点では今後地球上からなくなる見込みはありません。いち早くコロナワクチンが高齢者から若年者まで全てにいきわたることを願ってやみません。なお、新型コロナウイルスは大人から大人、大人から子供へは容易に感染を広げますが、乳幼児を含む小児から小児への感染は少ないといわれています。当クリニックの分析では、小学校高学年以上であれば他人に容易に感染を広げているようです。また、乳幼児を含む小児同士でも接触が濃厚であれば新型コロナウイルスは感染していくと理論上は考えられます。コロナワクチンは12歳以上が接種できます。2学期が始まってからの学校(中学校・高校・大学など)クラスターを予防するため、若年者でも接種機会があれば積極的にコロナワクチンを受けることが重要と考えます。
ところで、昨年の冬は全くインフルエンザが流行しませんでした。これは1999年に現在の方法でインフルエンザ感染者数の統計を取り始めてから初めてのことだそうです。理由は地球上の多くの人が感染予防を徹底したからです。では、今年はインフルエンザ予防接種を行う意義はどのくらいあるのでしょうか。そのカギは、今年の夏の保育園、幼稚園でのRSウイルス感染症の大流行にあると思います。感染予防を徹底すれば、インフルエンザやRSウイルス感染症に罹患する可能性は少なくなります。しかし感染予防を徹底したおかげで、多くの乳幼児がRSウイルスに対する抗体を持たなくなりました。本来は多くの乳幼児が毎年少しずつRSウイルスに感染して抗体を獲得し集団免疫が成り立ち、RSウイルスの大流行を阻止しているのです。 同様のことが今年の冬にインフルエンザウイルスに対しても起こる可能性があります。感染予防を徹底したために昨年はインフルエンザの流行が起きませんでした。そのため日本人のインフルエンザ抗体の保有量も全体的に少なくなっています。最後のインフルエンザの流行が2020年2月なので、それ以降に出生した0~1歳児は全くインフルエンザに対する抗体を持っていないことになります。また保育園児や幼稚園児に感染予防を徹底させることは不可能に近く、ひとたび保育園や幼稚園にインフルエンザが流行してしまった場合は、両親・兄弟への家庭内感染を経由して瞬く間にインフルエンザの大流行を起こしてしまう可能性が考えられます。 一方感染予防の徹底により、今年の冬もインフルエンザは全く流行しない可能性ももちろんあります。以上より、今年の冬は小児を中心にインフルエンザは大流行を起こすか、全く流行しないかのどちらかであると考えます。
インフルエンザの症状と新型コロナウイルス感染症の症状は似ています。もし今年の冬にインフルエンザが大流行した場合、高熱が出たときにインフルエンザと新型コロナウイルス感染症の両方の心配をすることになってしまいます。以上からインフルエンザワクチンを接種してインフルエンザを予防することはまだまだ大切な位置付けであると考えます。インフルエンザ予防接種は10月から開始の予定です。ご質問がございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
2021-08-20 08:00:00
きし内科クリニック通信
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