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2022年8月号(第79号)【 「新型コロナ感染」の再燃と、「夏かぜ」と「RSウイルス感染」の流行 】

2022年8月号(第79号)【 「新型コロナ感染」の再燃と、「夏かぜ」と「RSウイルス感染」の流行 】

【 「新型コロナ感染」の再燃と、「夏かぜ」と「RSウイルス感染」の流行 】

きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第79号を発行いたしました。
本号では、「新型コロナ感染」の再燃、「夏風邪」「RSウイルス感染症」についてお話いたします。

2022年6月の下旬より、新型コロナウイルスの感染者数が再び増加に転じています。2021年11月に、新型コロナウイルスを形成するスパイク蛋白質に少なくとも30ヶ所の変異を有する「オミクロン株」が南アフリカで初めて確認されました。その後、日本でも「オミクロン株」の流行が続いてます。オミクロン株は、現時点で少なくとも6つの系統「BA.1株」「BA.1.1株」「BA.2株」「BA.3株」「BA.4株」「BA.5株」に分類されます。日本においては、オミクロン株の最初の流行は2022年1月からの「BA.1株」が主流でしたが、2月ごろから「BA.2株:ステルスオミクロン株」の感染例が増加しました。6月に入ってからは「オミクロン/BA.4株」「オミクロン/BA.5株」による感染者数が増加しているようです。これから新型コロナウイルス感染者数の増加傾向は続くと予想されますので注意が必要です。

今年の夏は新型コロナウイルス感染症に加え、「夏かぜ」、「RSウイルス感染症」も同時に流行っているので注意が必要となります。
夏かぜを起こすウイルスで代表的なものに、「アデノウイルス」「エンテロウイルス」があります。どちらのウイルスも、気道分泌物からの「飛沫感染」、便からの「接触感染」を起こします。感染してから症状が出るまでの期間(潜伏期間)は3~7日間です。乳幼児の感染が多いのですが大人も感染します。感染するとインフルエンザの様な高熱が出る場合から、軽いのどや鼻の風邪で済む場合、胃腸炎(下痢・嘔吐)を起こす場合、何も症状が出ない(不顕性感染)場合まで症状の程度は様々です。症状が治った後も、のどからは7~14日、便からは30日間はウイルスを排出し続けることがあります。トイレやおむつ替え後によく手を洗うことで感染を予防できます。症状をこじらせると肺炎や無菌性髄膜炎を起こすこともあり注意が必要です。アデノウイルスやエンテロウイルスに対する特効薬はなく、対症療法が中心となります。
アデノウイルス感染症の代表的な疾患に、「咽頭結膜熱(プール熱)」「流行性角結膜炎」があります。
エンテロウイルス感染症の代表的な疾患に、「手足口病」「ヘルパンギーナ」があります。

「RSウイルス」は、乳幼児の気管支炎(発熱、咳、ぜいぜい)を起こす代表的なウイルスです。
1歳以下の乳幼児に生じることが多く、乳児の半数以上が1歳までに、ほぼ全員が2歳までに一度は感染するといわれています。終生免疫は獲得されないため、その後も再感染は起こりますが、一般的には年長児以降では重症化はしないといわれています。今までは、9月~翌年の1月頃(秋から冬にかけて)に流行していましたが、最近は流行時期が早まり夏に流行を起こすことが多くなっています。
感染経路は、患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるRSウイルスを吸い込むことによる「飛沫感染」が主ですが、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる「接触感染」もあります。感染後4~5日の潜伏期ののち、鼻汁、咳、発熱などの上気道症状が現れます。3割程度の患児はこのあと炎症が気管(下気道)まで波及して、気管支炎を発症し、咳の増強、ぜいぜいする(喘鳴:ぜんめい)、頻呼吸などが現れてきます。1~3%の患児(特に1歳以下)が重症化し、入院治療を受けます。心肺に基礎疾患がある小児は重症化しやすいとされます。通常は数日~1週間で軽快します。RSウイルスに対する治療も対症療法が中心となります。
新型コロナウイルス、夏かぜ、RSウイルス感染症などの予防のため、マスク、こまめな手洗いをこころがけましょう。特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方は、新型コロナワクチンの追加接種も受けましょう。

2022-07-08 09:44:47

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