【 スギ花粉が飛び始めました 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第85号を発行いたしました。
本号では、「スギ花粉症のお話」を掲載いたします。
1月入り新型コロナウイルス感染症の新規患者数もピークを越えつつありますが、インフルエンザ感染者数が増加に転じています。手洗い、ワクチン接種などの感染対策が大切です。
ここからが本題です。今年1月10日の診療中にいつもより目が痒い自分に気づきました。過去のクリニック通信でたびたび申し上げていますが、私はひどいスギ・ヒノキ花粉症なためスギ花粉飛散開始には敏感に反応します。
日本気象協会ホームページによりますと、
今年のスギ花粉飛散量は九州~東北で前シーズンより多く、特に四国・近畿・東海・関東甲信で非常に多い予想だそうです。飛散開始時期は例年並みで、九州から関東で2月上旬から飛散開始となるそうです。スギ花粉は飛散開始と認められる前からわずかな量が飛び始めますので、1月10日からわずかな量の花粉が飛散していたと考えて間違いなさそうです。昨年に花粉症の症状が弱かった方も、今年は万全な花粉症対策が必要になりそうです。
私は毎年1月半ばから5月半ばまで花粉症の薬を内服しています。花粉症の薬を内服しないと、夜中に咳が止まらず、目が真っ赤に腫れ、一日中鼻をかんでいなくてはいけなくなってしまいます。また、新型コロナウイルスの流行後からは以前よりも換気をまめに行うようになったため、クリニックの中にも花粉が入ってくるようになり、診療中も目薬を手放せません。
スギ花粉症の一番の対策は、スギ花粉の吸入・接触を避けることです。スギ花粉は粒状物なので風が強い日は空気中に舞いますが、その後地面に落下します。また洋服にも付着します。空気中に舞っているスギ花粉をマスクで予防することはもちろんですが、地面や洋服に付着している花粉を吸いこまないことも重要になります。地面に落下している花粉を吸いこむことが最も多い時間は、夜にベッドや布団に顔をうずめて寝ているときになります。スギ花粉を避けるのに有効な対策として、布団やベッドにスギ花粉を付着させないこと、洋服に付着したスギ花粉を自宅に持ち帰らないことの2点が特に重要になります。
具体的には、
「寝室の換気をしない」 「シーツや布団は部屋干しする」 「布団に花粉が付着した場合は掃除機で吸い取る」 「寝室の枕元に空気清浄機を設置する」 「衣服は部屋干しにする」 「特に寝具に花粉を付着させないように注意する」になります。
新型コロナウイルスの流行のため、マスクを着用することは慣れましたが、部屋の換気も行わなければいけなくなったためにスギ花粉の室内の侵入には特に注意が必要です。
スギ花粉によるアレルギー性炎症の総称をスギ花粉症といいます。具体的にはスギ花粉による「アレルギー性鼻炎」「アレルギー性結膜炎」「アレルギー性気管支炎」「アレルギー性皮膚炎」の全てを総称して、スギ花粉症というのです。スギはヒノキ科の植物のため、スギ花粉症患者のほとんどはヒノキ花粉症も合併し「スギ・ヒノキ花粉症」とも称されます。
スギ・ヒノキ花粉の飛散時期は、1月下旬~5月上旬ごろになります。
スギ花粉症(スギ花粉によるアレルギー性炎症)の具体的な症状を、以下に示します。
【アレルギー性鼻炎】 鼻水、鼻づまり、くしゃみ、鼻のかゆみ・むずむず感、頭重感、前頭部痛
【アレルギー性結膜炎】 目のかゆみ、充血、目のまわりの腫れ
【アレルギー性皮膚炎】 皮膚のかゆみ、赤み、皮膚のかさつき(特に鼻~頬の辺りに多い)
【アレルギー性気管支炎】咳、痰、喉のいがいが感(スギ花粉によって誘発される「咳ぜんそく」とほぼ同じ症状です)
スギ花粉症の症状で、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみは有名ですが、いったん出始めると止まらなくなる咳(特に夜中に多い)や、皮膚のかゆみも花粉症の症状の可能性があるので注意が必要です。
風邪の症状とも似ていますが、目のかゆみを伴う場合や2週間以上症状が続く場合は、風邪ではなく花粉症を強く疑います。
花粉症の治療は、内服薬、点鼻薬、点眼薬などで行います。従来の花粉症治療薬は眠気を催すものが多かったのですが、
眠くなりにくくある程度の効果が期待できる薬も開発されています。
スギ花粉の飛散が終わる5月中旬より
「スギ花粉症舌下免疫療法」を合わせて行うことも可能です。
私自身のスギ花粉症治療の経験も踏まえながら、患者様の個々のニーズに合った最適な花粉症治療の提案を出来るように努めます。花粉症でお困りの方は是非当院にお気軽にご相談ください。
2023-01-18 12:03:50
きし内科クリニック通信