【 スギ花粉症の舌下免疫療法 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第87号を発行いたしました。
本号では、「スギ花粉症舌下免疫療法」のお話を掲載いたします。
本ブログを記載している3月11日時点で、新型コロナウイルス、インフルエンザ感染症の新規患者数はピークを越えつつありますが、代わりにスギ花粉症が猛威を振るっているようです。
スギ花粉によるアレルギー性炎症の総称をスギ花粉症といいます。具体的にはスギ花粉による
「アレルギー性鼻炎」「アレルギー性結膜炎」「アレルギー性気管支炎」「アレルギー性皮膚炎」の全てを総称して、スギ花粉症というのです。スギはヒノキ科の植物のため、スギ花粉症患者のほとんどはヒノキ花粉症も合併し「スギ・ヒノキ花粉症」とも称されます。
スギ・ヒノキ花粉の飛散時期は、通常は1月下旬~5月上旬ごろになります。
NPO法人花粉情報協会のデータでは、今年の東京都のスギ花粉飛散開始日は2月11日で、2月の合計スギ花粉飛散量は976.4/㎠でした。昨年の2月の合計スギ花粉飛散量15.4/㎠でしたので、今年の2月~3月初旬のスギ花粉飛散量は、大幅に昨年の飛散量を上回っております。
日本気象協会ホームページによりますと、3月中旬以降も花粉の飛散量が多い日が連日続く見込みだそうです。またスギ花粉の飛散がピークとなる中、ヒノキ花粉が飛び始めています。スギ花粉飛散のピークは、東京では3月下旬までの予想です。スギ花粉飛散のピークが終わる頃になると、ヒノキ花粉飛散のピークを迎える所が多くなりそうです。ヒノキ花粉飛散のピークは、 東京では4月上旬から4月下旬にかけてとなるそうです。関東地方の
今年のスギ花粉飛散量は、昨年より非常に多くなる見込みだそうです。昨年にスギ花粉症の症状が弱かった方も、今年は万全なスギ花粉症対策が必要になりそうです。
花粉症治療の基本は、以下の通りになります。
抗原回避(衣服や寝具の部屋干し、寝具への花粉の付着の防止、布団掃除、マスク着用など)
薬物治療(内服薬、点鼻薬、点眼薬など。)
これらの治療で効果不十分の場合は、スギ花粉症舌下免疫療法の適応になります。
スギ花粉症舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法、減感作療法)とは、スギ花粉を含むエキスを舌の下に投与し、少しずつ体内に吸収させることで、スギ花粉に対するアレルギー反応を弱めていく治療法です。
具体的には、薬を舌の下に1分間保持してから飲み込みます。これを1日1回、約4年間行うことで、約90%の患者さんのスギ花粉症の症状が軽減するといわれています。治療は保険適用になります。スギ花粉症とダニアレルギーの舌下免疫療法を合わせると、これまで400例以上の患者さんが当院で治療を行っています。
スギ花粉症舌下免疫療法は、5歳以上の年齢の方全てに行うことが出来ますが、新規に開始することができる時期は、スギ・ヒノキ花粉が飛散していない時期(5月GW明け~12月末まで)になります。
なお、重症ぜんそくの方、ステロイド内服中(点鼻・吸入ステロイドは可)の方、抗がん剤やβ遮断薬など特定の薬を使用されている方は治療を行うことができません。妊娠中の方は妊娠中に新規に治療を開始することはできませんが、内服治療中に懐妊しても問題なく治療を継続することができます。
当院では、私自身のスギ花粉症治療の経験も踏まえながら、患者様の個々のニーズに合った最適な花粉症治療の提案を出来るように努めています。花粉症でお困りの方は是非当院にお気軽にご相談ください。
2023-03-16 10:32:00
きし内科クリニック通信