【外部リンク】 病院・医院検索の「病院なび」 きし内科クリニックのホームページ
【 「ヘルパンギーナ」が流行しています 】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第90号を発行いたしました。 本号では「ヘルパンギーナ」のお話を掲載いたします。 夏風邪が大流行しています。新型コロナウイルス感染対策のため、ここ数年マスク着用、手洗い等の感染予防を徹底していました。感染予防の徹底により子どもが風邪を引く頻度が減り、子どもの風邪に対する抗体保有量は現時点ではかなり低下していると考えられます。今夏からマスクを外す日常が戻ったことで、風邪に対する抗体を持たない子どもたちが次々と夏風邪に罹患しているのです。 代表的な夏風邪に、ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱(プール熱)があります。最近はRSウイルス感染症も夏に流行しています。今夏は、5月を過ぎてから小学校でA型インフルエンザが流行したり、新型コロナウイルス感染者数も増加に転じており注意が必要です。 夏風邪は嘔吐・下痢・腹痛などの胃腸炎症状、目の充血などの結膜炎症状を合併しやすいことが特徴です。またRSウイルス感染症などは、風邪症状が改善した後も咳が長く続くことがあり注意が必要です。 ヘルパンギーナは、高熱と、のど(軟口蓋)に強い痛みを伴う水疱性の発疹を認める急性ウイルス感染症です。基本的に予後は良好な疾患ですが、乳幼児は時に重症化する場合があるので注意が必要です。 【疫学】 ヘルパンギーナは代表的な夏風邪のため、毎年5月から8月にかけて流行します。患者の年齢は5歳以下が全体の90%以上を占め、1歳代がもっとも多く、ついで2、3、4歳代の順で、0歳と5歳はほぼ同程度の症例が報告されています。 【原因と感染経路】 主にコクサッキーA群ウイルスを原因とします。原因ウイルスは複数あるため、繰り返し罹患する可能性があります。ヘルパンギーナに罹患した人の咳や鼻汁・唾液などに含まれるウイルスによって感染します(飛沫感染)。また、唾液や便から排出されたウイルスが手などを介し、口や眼などの粘膜に入って感染します(経口・接触感染)。 飛沫や鼻汁からは1~2週間、便からは数週~数か月間、ウイルスが排出され続けます。 【症状】 2~6日の潜伏期の後、突然の高熱、咽頭痛や咽頭発赤を呈し、口腔内に水疱や発赤が現れます。水疱は破れて痛みも伴います。2〜4日で解熱し、7日程度で治癒します。高熱による倦怠感や口腔内の痛みなどから、食事や水分を十分にとれず、脱水になることもあります。頭痛やおう吐、発熱が続く場合はお気軽に相談をお願いします。 合併症としては、熱に伴う熱性けいれんと、まれに髄膜炎や心筋炎が生じることがあります。 【治療】 特別な治療法は無く、症状に応じた対症療法が行われます。 ワクチンは開発されていません。飛沫感染や接触感染、経口感染により感染するため、 マスク着用、手洗いなどの一般的な予防法の励行が大切です。有効な治療法はありませんが、多くの場合自然経過で治癒します。口の中に水疱ができ食事がとり難いため、柔らかく薄味の食事を工夫し、水分補給を心がけることが大切です。 【登園・登校基準】 厚生労働省が出している保育所における感染症対策ガイドラインでは、「発熱や口腔内の水疱の影響がなく、普段の食事がとれる」ようになることが、ヘルパンギーナの登園目安となっています。保育園や幼稚園に登園するときには、熱がなく問題なく食事がとれることを登園目安としましょう。 一方で、保育園や幼稚園によっては、集団感染を防ぐ目的で明確な登園禁止期間を設けている施設もあります。手足口病にかかったら、通っている保育園や幼稚園に出席停止期間や登園基準が決められているかを確認しておくとよいでしょう。 夏風邪でお困りの際は、お気軽に当院にご相談ください。
2023-06-26 14:40:05
きし内科クリニック通信
▲Topヘ